1月の勉強会報告

 任意団体ヴィープス(木原一裕チェアマン)は1月22日、東京都豊島区東池袋・池袋FRIENDS会議室サンライズで1月度月例勉強会を開催しました。「indeedやハローワークの活用方法を中心とした採用について」のテーマのもと、オンライン参加を含め17名が参加。ジブラルタ生命保険㈱のライフプラン・コンサルタントで元エン・ジャパンの川崎祐司氏を講師に、採用の有効な方法について学びました。

 はじめに木原一裕チェアマンによる新年のあいさつから始まりました。本年も学びの機会を継続して企画していく方針が共有され、会の前に実施した運営委員会では、今後の候補として「アマゾンの物流倉庫見学」や「価格改定をどのようにお客様へ説明するか」といったテーマが挙がり、参加者に向けて、今年も引き続き勉強会への参加を呼びかけました。

 続いて登壇した川崎氏は、講演のテーマを「採用」とし、とくに無料で活用できるIndeedやハローワークを中心に、運用の考え方と進め方を共有することを目的に掲げました。具体的な手法に入る前に、まず採用を進めるうえでの土台となる考え方を理解してほしい、というのが講演の主旨です。

 以下項目別にまとめてみました。

採用は「営業」であり、継続と改善の積み重ねが成果につながる

 川崎氏は、採用支援に携わる中での結論として「採用は営業である」と述べました。どの媒体を使えば一気に人が集まる、という魔法のような正解はなく、小さな改善を積み重ね、継続的に取り組むことが結果につながるという考え方です。採用は課題解決のための手段であり、ツール選定が本質ではなく「ツールをどう活用するか」「どのような採用の考え方で取り組むか」が重要だと強調しました。

 また、講演の目的は「最適な採用を実行できる状態をつくること」とし、考えるだけではなく実行が大切であるため、参加者には明日から、あるいは今日からでも何か一つ実践してほしいと呼びかけました。

採用の思考プロセス:外部環境→目的→課題→戦略

 採用を考える第一歩として、川崎氏は外部環境を理解する重要性を整理しました。確認すべきポイントは大きく三つで、①求職者が仕事に何を求めているか、②競合他社がどのような条件・訴求で採用しているか、③賃上げや最低賃金上昇、働き方改革など世の中の動向、です。求職者は世の中の情報の影響も受けるため、外部環境を踏まえたうえで採用を設計する必要があると説明しました。

 次に重要なのが、採用目的の明確化です。何のために採用するのかが定まらなければ、採用したい人物像も求人原稿の内容も定まらず、結果としてどのツールを使っても成果が出にくくなります。目的は「定量(どのくらい伸ばすか)」と「定性(会社をどんな状態にしたいか)」の両面で考えることが重要で、売上向上・生産性向上・ブランド強化といった方向性に整理しつつ、5W1Hや「なぜ」を繰り返す方法、紙に書き出して整理する方法が有効だと紹介しました。

 目的を定めた後は、過去の採用を振り返り、どこに障害があったのかを明確にします。川崎氏は採用プロセスを「①認知の数」「②会える数」「③会った人に魅力を感じてもらえるか」の三段階で捉え、どこがボトルネックになっているかを分解して考える重要性を示しました。感覚だけで判断せず、閲覧数・応募率・クリック率などのデータを可能な限り取得し、要素分解して検討することがポイントです。 ここまで整理して、ようやく採用戦略に入ります。戦略は、①要件定義(どんな人を採用するか)②広告設計(どう知らせ、何を魅力として伝えるか)③実行体制(役割分担やプロセス整備)の三つのステップで考えると整理されました。

要件定義:スキル・知識・価値観で整理し、育成できる範囲を見極める

 要件定義では、年齢や経験年数だけでターゲットを狭めないことが重要だと述べられました。「スキル」「知識」「価値観」という三つの観点から必要要件を洗い出し、入社後に育成できるもの/できないものを切り分けていきます。過去に同職種の採用経験がある場合は、早期退職につながったミスマッチ要因も可能な限り書き出し、「入社時に必要な条件」を炙り出していくことが重要です。

 さらに後半では、整理した条件をもとに「その条件を持っていそうな人物像」を具体化する考え方が示されました。たとえば「仕事優先」「ハードワーク」といった価値観は、若年層では合致しにくい可能性があるという仮説を立て、早期退職が多い場合は30〜40代などにターゲットを広げる、といった発想です。その年代は家庭を持つことも多いため、異動のある会社や遠方出張を伴う営業経験者などに着目すると、運転や対人対応といった素養も期待できる、といった形で、条件からターゲット像を組み立てていきます。業界特性も仮説の材料にしながら、入社時に必要な条件を満たす人物像を想像していくフェーズが、後の設計を大きく楽にすると説明しました。

広告設計:自社の強みを洗い出し、ターゲットに刺さる訴求に絞る

 広告設計は、想定したターゲットに対して「何を魅力として打ち出すか」を考える段階です。いきなりターゲット目線で魅力を考えるのが難しい場合は、まず自社の強みを可能な限り書き出すことが有効です。社員アンケートで社内の声を集めると、自分たちが気付いていなかった強みが見つかることもあると紹介しました。

 また、他社の求人情報をチェックし、同業他社を中心に複数社を見比べることが重要です。どんな訴求が多いか、応募が集まっている企業の傾向は何かを掴んだうえで、同じ土俵で戦うべきかどうかを検討することがポイントです。

 「強みがない」「良いことが書けない」と感じる場合でも、ネガティブ要素は捉え方次第でポジティブに変換できるという話もありました。たとえば忙しさは「成長機会がある」と言語化し直し、成長意欲の高い層に刺さる打ち出しにするなど、切り口を変えて考えることが重要だと説明しました。

実行体制:段取りを決め、対応遅れによる機会損失を防ぐ

 採用は「設計」だけではなく「実行」が伴って初めて成果につながるため、誰が担当するか、いつ時間を確保するか、選考プロセス(面接回数や書類選考の流れなど)をどう組むかといった段取りを事前に決めておく必要があります。応募確認が後回しになるなど、実行が追いつかないケースは現実に起こりやすいからこそ、忙しさを前提にしても回る仕組みを整えることが重要だと述べました。

Indeed運用の要点:一覧画面で「開いてもらう」設計が鍵

 後半は、上記の考え方を踏まえたうえで、Indeed活用のポイントが共有されました。Indeedは「Indeed Plus」への移行が進む一方で、押さえるべき基本要素は大きく六つあるという整理です。給与設定、キャッチコピー、検索に引っかかる設計、写真、仕事内容の分かりやすさ、待遇の詳細が挙げられました。

 また、求人一覧で最初に目に入る給与は閲覧・開封に影響しやすく、相場感を踏まえた見せ方が重要です。待遇項目(交通費支給など)は検索条件に直結し、項目の充実度が閲覧数に影響することもあるため、可能な範囲でできるだけ整えることが有効です。さらに、Indeedでは一覧段階で写真が表示されるため、会社の雰囲気や一緒に働く人がイメージできる写真を用意し、一覧に表示されるメイン画像を工夫することが重要だと述べられました。

 そして「万人受けする求人にしなくてよい」という点も強調されました。採用目的を達成するために想定ターゲットを決めている以上、万人に刺さる内容ではなく、ターゲットにとって魅力となる要素に絞って言語化することが重要です。実例として、項目を多く設定して検索に引っかかりやすくしつつ、働き方や安心感の訴求で不安要素を先回りしてケアする設計が紹介され、最終的には応募につながる中身をターゲット視点で作り込む必要があるとまとめました。待遇面についても、年収目安などをできるだけ具体的に示し、転職後の生活不安を払拭する情報を提供することが有効だとされました。

ハローワーク運用の要点:紙とWebの両面を意識し、見える情報を磨く

 ハローワークについても、求職者が見るポイント自体は大きく変わらない一方で、システムの違いによりWebで見る人と紙の求人票で見る人がいることが共有されました。表現上の制約はあるものの、仕事内容は仕事の範囲内であればある程度記載できる印象であり、勤務時間などは書き方によって扱いが変わる部分があるため注意が必要です。ここでも、先に整理した広告設計(自社の強みをどこに書くか)が活きてくるという流れでした。

 質疑では、ハローワークのWeb表示で一覧の左側に仕事内容が三行程度表示される点が話題になり、三行で開いてもらう工夫(改行を抑え、短い枠に重要情報を入れるなど)が紹介されました。表現上の制約がある場合でも、運用上の工夫によって掲載を進められるケースがあるという実体験も共有されています。

 また、職種コード(スマート検索)の考え方として、該当する職種が複数ある場合は幅を持たせて設定することで、検索に引っかかる機会が増えるという話もありました。実際に、業務の実態に即して関連する職種も登録することで紹介数が増え、採用につながった事例が紹介されました。

「正解がない」からこそ、設計と検証を繰り返して勝ちパターンをつくる

 講演の締めくくりとして川崎氏は、「これを書けば人が来ます」という単純な正解はなく、採用は考えて、考えて、考えて進める必要があると述べました。正解が分からないからこそ、どれだけアクションを起こすかが重要になります。ただし、最初に設計しておかないと、何がダメだったのか、次に何を変えればいいのかの検証ができません。目的、ターゲット、課題設定、訴求点を見直しながら求人を作り直すことを繰り返し、自社の勝ちパターンを見つけていくことが、結局は唯一の方法だというメッセージでした。