7月の勉強会報告

 任意団体ヴィープス(木原一裕チェアマン)は7月19日、ラベル印刷会社を訪問する人気コンテンツ、「企業視察」を実施しました。前月、山形を舞台に催行した企業視察に次いで連続実施の形となったものの、当日はヴィープス会員外企業も複数参加。あまりに多くなり過ぎて人数制限を講じるほどと、人気企画ならではの盛況を博しました。

 今回訪問したのは、東京都荒川区町屋の㈲彩光社(鷲尾浩一社長)です。同社は、包装紙や店舗用品専門商社である株式会社シモジマのグループ会社。飲食店や流通小売から学生や文具女子まで幅白い来店者を集めている、シモジマ各館の店頭に並ぶシール・ラベルはもとより、BtoB向けの各種ラベルや下げ札などを製造しています。

 はじめに同社会議室へ全員集合し、木原チェアマンがあいさつしました。企業視察を受け入れてくださった鷲尾社長へのご厚意に謝意を示した後に「たくさん見せていただいて、学びを得て帰りましょう」と伝え、タイムテーブルを確認しました。
 なお写真のチェアマン(最上段左側)は大汗をかいていますが、当日は35℃超えの猛暑の中、自らワンコインショップで室内用スリッパを購入し、両手いっぱいに抱えて会社まで歩いて来られました。人知れぬ所での気遣い、さすが組織のトップに立つ方は度量が違います。「こんな(汗ビッショリの)姿、あんま撮られたくない…」とはにかんでおられましたが、配慮を忘れず努力を厭わないリーダーの鑑です!

 20人を超える参加者を2班に分け、1Fと2Fでそれぞれ見学を開始しました。1Fはコンベンショナル印刷機と加工機のフロアですが、一画には「運用を始めてもう20年くらい」(鷲尾社長)という、コンピュータ―カラーマッチング(CCM)とインキディスペンサ―による調色の自動化を構築したシステムがありました。

 従来は「オフセット印刷会社が運用する装置」(同)とのことで、確かに機械は大型です。彩光社の業務内容は特色やリピートものが多いようで、鷲尾社長は「ジョブは番号等で管理していて、リピートの場合はオペレーターが自分で入力しさえすれば、いつでも調合されたインキを自動で用意できます」と自動化工程を説明。1Fで刷られるジョブのうち98%は同装置を運用しているのだそうです。

 ちなみに設備投資額は「数千万円レベル」だそう。それでも「募集をしても印刷オペレーターの応募が少ない時代。この装置があるおかげで、印刷部門を精度高く回すことができています。そこへの投資だと思えば、20年で十分に元は取れています」と評価しました。ちなみに、CCM抜きでインキの調色が行えるのは鷲尾社長を含めて3人だけだとのことでした。

 またラベル印刷機と加工機の並ぶフロアの一部には、ブルーシートのかかった“マル秘”の機体も。彩光社独自の印刷加工手法を駆使したものづくりを実践していることがうかがえます。 このほかにも、工場の端にはラベル印刷会社では滅多に見られない、年季の入った小型の装置が!下げ札の印刷から糸通しまで行うというクラッシックな印刷加工機でした。市場にもそうそう目にしない旧式のモデルのようで、故障したら一大事でしょうか。あいにく見学当日は止まっていたものの、こうした機械が大好物な参加者は「すげぇ」「何かカッコイイ」と熱視線。鷲尾社長による装置の紹介に見学者は耳を傾け、珍しそうに眺めていました。

 クラッシックな1Fに対して、2Fはエプソンのデジタル印刷機「SurePress」が2台にと平台の大型カッティングプロッタが並んだいわばデジタルフロア。「SS Lab.」と銘打った、彩光社のデジタル部門を見学しました。

 有名な正方形の食玩シールを連想させる、3D化したイラストをホログラム基材に発色よく印刷していく工程を見学する後方では、大型のプロッタが小気味よく稼働しカットしていく姿が。意外とカッティングプロッタがキビキビと動いてどんどん自動処理していく姿にロマンを感じ、見惚れている見学者が多かった印象です。

 ラボにはショールームスペースも設けられ、同社が主にSurePressで手がけたサンプルがずらり並びます。先ほど見学した実際に流通している正方形のキラキラシールをはじめ、有名ブランドや大手企業のノベルティー類に、美術展のフライヤーをシールで仕上げてそのまま美術館のウインドーに貼れるような大き目のPOPも。粘着製品以外に、カッティングプロッタを生かした厚紙の組み立て式応援用メガホンなど、ラボから生まれる多彩な印刷物を見せていただきました。

 こうして90分の企業訪問は終了。「従業員の方が楽しそうに仕事をしている姿がいいなと感じた」などといった感想も聞かれました。

 企業視察終了後は、近くに場所を移してお待ちかねの懇親会!猛暑の後にいただく炭酸飲料と食事はまた格別でした。
  アナログとデジタルが共存して個性と強さを創り出しているものづくりの現場は大変刺激的で、見学者はそれぞれ学びをたくさん得て帰ったことでしょう。鷲尾社長、従業員の皆さま、どうもありがとうございました!