研修旅行を実施しました

 任意団体Vieps(木原一裕チェアマン)は6月21日、進和ラベル印刷㈱(山形県上山市蔵王の森、晋道純一社長)で「工場見学会」を開催。メンバー30人が参加し、同社の事業動向と本社工場の設備を見学しました。

 見学会は冒頭、木原チェアマンがあいさつ。「今回は10年ぶりの訪問です。この間、ラベル業界を取り巻く環境は大きく変化しており、それに伴って進和ラベル印刷会社さんも事業内容や設備状況が変化していると思います。今日の見学会が、参加した皆さんの知識習得に役立つことを期待します」と述べました。

 引き続き、晋道社長が歓迎のあいさつを行うとともに、同社の成り立ちを説明しました。それによると同社は1987年、包装資材の販売会社として設立したのち、山形県有数の菓子メーカーである㈱でん六の経営者による招きのもと、現在の所在地へと移転しました。

 移転当時は、包装資材の販売が売上高のほとんどを占めていましたが「かねてから企業規模に関係なく〝モノづくりはおもしろい〟と考えており、そのような中で受注しつつも外注していたラベル製造を自社で手がけることを決断したのです。さらにラベル製造事業を軌道に乗せるため、当時の社名だった『㈱進和』では何の会社なのか分かりづらいと考え、ラベルを印刷する会社であることを幅広く周知していただくことを目的に、現在の社名へと変更しました」(晋道社長)とコメント。

 それを踏まえたうえで、ラベルビジネスを成長させるカギの1つとして、デザイン制作による提案を挙げました。同社ではかつてデザイン制作を求められた際、外部のデザイナーに依頼していましたが、それを内製化するためデザイン制作部を立ち上げることに。

 晋道社長は「当社は7割がブランドオーナーさまとの直接取引です。営業活動の際、デザインを当社から提案できたならば、受注に結び付きやすくなると考えました。事実、デザイン制作部によって当社のラベルに関連する業績は成長しました。もっともデザイン単体の事業では赤字です。しかし当社全体としての視点で考えた場合、業績アップにつながっていると認識しています」と分析。

 また、ラベル市場の現状について「近年は、SDGsに代表される持続可能な社会の実現に向けた取り組みも必要であり、そのための体制づくりが求められます。また直近に目を向けると、ラベル関連の原材料価格高騰やエネルギーコストの上昇、さらには人手不足、技術承継などさまざまな課題に直面しています。そのような中で東北地域では、企業合併によって事業拡大を志す企業が現れています。このような動きは今後、さらに増えることが予想されます。合併までには至らずとも、ラベルビジネスに携わる私たちは、互いに協力して市場全体を成長させることが重要です」(晋道社長)と訴えました。

 そして今年度に38期を迎えた同社は、今後もラベル製造事業でのさらなる売上拡大のため、利益追求を目的とした生産性の向上を推進していくと明言。最後に晋道社長は「40期に当たる2026年に、私は後継者に経営を譲る予定です。それまでの期間、私に与えられたミッションは、これまで以上に安定した収益を得られるような万全の経営体制を構築すること。そのためには、当社の従業員が高いモチベーションを保ちつつ、全員で同じ方向を目指して業務に従事する…そんな“ワンチーム”の企業体質を確立していきたいと考えています。成功の反対は失敗ではない。それは挑戦しないこと」と述べ、参加者から拍手を浴びました。

 引き続き、東京営業所の晋道直人部長が同社の概要として、本社工場ならびに庄内支店・工場の設備状況を説明。さらに同社が注力している「全日本シールラベルコンテスト」の受賞歴をはじめ、精力的に営業展開しているトレーサビリティー・サービス「SENGAN(先眼)」を紹介しました。

 SENGANは、ラベルにNFCタグを組み込み、スマートフォンをかざすだけで被着体の商品に関する正規性や流通経路などが確認できる仕組み。模倣品や横流し行為の防止に効果がある点を訴求しました。

 その後、参加者は2班に分かれ、工場内を視察。中でも、昨秋に導入された三條機械製作所製の凸版間欠機「JNAS」に注目が集まりました。担当者は印刷見当自動調整・監視システム「ARCS」がジョブチェンジの際にどれくらいの時間で見当合わせを完了するかを実演。ロス紙や時間の短縮状況を間近で見学しました。

 また三起機械製のオフセット間欠機「SOF」にも関心。昨年度の「第33回シールラベルコンテスト」で経済産業省商務情報政策局局長賞を獲得した作品を印刷しており、高い印刷品質を可能にする機種として活躍しています。

 デジタル印刷機は、三條機械製作所製の「SEP-330」とコニカミノルタ製の「AccurioLabel 230」について、フルカラーでの印刷品質や手がける受注内容などに関する質問が参加者から挙がり、オペレーターが熱心に返答する一幕もありました。  このほか、後工程として抜き加工機や検査装置、ピロー包装機なども見学。特にシリウスビジョン製のシート検査装置が耳目を集めていました。

 その後、参加者は会場を山形市十日町の山形まるごと館 紅の蔵で懇親会を開催。参加者は情報交換を行いつつ懇親を深め合いました。進和ラベル印刷の皆さま、ヴィープスの企業視察をお引き受けくださり本当にありがとうございました!!