5月の勉強会報告
任意団体ヴィープス(木原一裕チェアマン)は5月10日、文京区春日の区民センターで月例勉強会を開催しました。
突然ですが皆さんは、資産形成をどのように行っていますか。ひたすら貯蓄でしょうか、先物取引や株の運用でしょうか。「NISA」や「iDeCo」も年々口座開設数を増やし、20代からも運用を始める状況です。資産運用を開始した理由を調査したある報告によると、最も多かったのが「老後や将来の生活資金に不安」。加えて始めたばかりの層では「値上げや物価高で必要性を感じた」や「家族や知人に勧められた」という回答が続くようです。
前段が長くなりましたが、今回の勉強会は「企業型確定拠出型年金について~401Kの有効活用~」。社労士で肥後労務管理事務所代表社員の、平井俊輔氏が講演しました。
平井氏は冒頭、今日これから話す内容を端的に言うと「将来(60歳以降)に使うお金を『有利に』かつ『確実に』貯めることができる制度」であると明言。続けて「さらに役員や法人にとってもメリットあり〈社員良し〉〈役員良し〉〈法人良し〉の三方良し」であると聴講者の心をグッと掴みました。ヴィープス参加者の多くは経営者、次いで取締役ら経営幹部に次期社長と、プロパーの筆者とは違います。
初めに平井氏は、参加者に「65歳の定年退職後、老後に備えるためには退職金を含めていくらあれば安心と言われているでしょうか」と、聴講者に①2,000万円②3,000万円③5,000万円、と3択で質問します。
一時期の金融庁の報道で「老後2,000万円問題」がありましたよね、と同氏。ただ答えは①ではなく②だとし「1億円でも足りない人もいれば2,000万円で十分な人も居る」としながらも「最低2,000万円は作りたい」と説明します。
とはいえ、全国紙での過去記事も引用しながら同氏は実際のところとして「公的年金だけでは老後の生活は確実に成り立たない」と明言。 2人以上の無職世帯(世帯主が60歳以上)の1ヶ月の家計収支は収入が約21万円、支出が約27万円(消費支出+非消費支出)と約6万円の赤字に。貯蓄等を取り崩しながら不足額を補う必要があることを図解して「今現在でも約6万円の赤字⇛退職後の資産形成は必須です」と力説します。
「例えば30歳の若い方がいて、65歳まで頑張って働いてくれます。35年あるじゃないですか。35年かけて毎月お給料からいくら頑張って貯蓄したら2,000万になるか。電卓を叩くと、月に4万7,777円必要なんですね。4万7,000円を30歳の方が35年も毎月積み立てる、相当難しいと思います。もちろんダブルインカムで、夫婦で稼ぐって方もすごく増えていますのでそれでも半分2万3,000円以上必要なのは、結構しんどいものです」
そんな国民が将来に不安を覚える日本ですが、国も一昨年からようやく高校生の家庭科の授業で投資教育を始めました。
「投資教育が非常に遅れてきましたが、そういった世代の方がこれから数年後に社会に出てきて、そのあたりの知識を学校で学んで持っています。ということは、この制度を会社で福利厚生として持っているか持ってないかが、会社選びの一つの基準になる。そんな時代もやってくると思います」として、具体意的な説明に配します。
401kとは、企業型確定拠出年金の別称。なおiDeCoは個人型確定拠出年金のことで、両者の違いは「費用の払出し先」です。iDeCoの掛金は個人で拠出し、401kは主に企業が拠出します。 401kも①会社拠出型②選択制(会社負担なし)③ミックス(会社一部負担)が存在。このうち②については、社員が給与の一部を確定拠出年金に拠出し、老後の資産形成を自らの意思に基づいて積み立てていくことができます。一方、会社にとっては新たな費用を負担することなく企業年金制度を導入できる点も魅力と説明します。
平井氏は「401kの特徴と制度運営のスキーム」「401kが『有利な理由』と『安心な理由』」などをはじめ、具体的な数字を当てはめた資産形成シミュレーションに、自身が担当する企業の運用事例も紹介。聴講者からも講演途中で質問が相次ぎ、関心の高さを実証していました。401Kについて同氏は「『なんか良い節税方法ないかな』『社会保険料って高いよね』『なかなか良い人が採用できないんだよ』『社員がなかなか定着しなくて辞めちゃうんだ』『福利厚生(退職金など)ってやっぱり必要だよね』、などといった企業の悩みの解決にもつながります」と説きました。
率直に申し上げて、この手のリポートほど難しく、また伝わらないことを分かったうえでやらなくてはならない無力を感じることはありません。というのも、われわれには、当日の動画があります!動画をご覧いただけましたら、100倍いやそれ以上分かります。一目瞭然です。実際、平井氏の説明は大変分かりやすかったです!そこへ経営者や幹部らを中心とした聴講者が質問し確認するので、追体験しながらより重層的に理解が深まりました。
機会がありましたら、アーカイブを有効活用してご視聴いただきたい。そして401kの運用開始を一度ぜひ検討してみてください。自社で業務に従事している従業員のためにも!当社も始めてくれないだろうか…。