6月の勉強会報告

Viepsは6月17日、毎年恒例の「工場見学会」を開催しました。今年は新潟県三条市を舞台に、ラベル印刷会社の㈱フォーワテック・ジャパン(田中康之社長)と、印刷機メーカーの㈱三條機械製作所(村田哲夫社長)の2社を訪問。関西の会員企業も参加し、21人で実施しました。

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AM9:45、一同は燕三条駅に集合。車に便乗して、1社目のフォーワテック・ジャパンに向かいました。
はじめに、神子島新一取締役営業本部長が代表して歓迎のあいさつに立ち、フォーワテック・ジャパンの沿革や設備状況など概要を紹介しました。

次いで、Vieps会員で同社東京営業所の小池稔所長が、和紙ラミネート加工「かすみ」や疑似エンボス加工「梨地」、ホログラムシール印刷といった、同社の特殊印刷加工技術による個性的なラベル製品を説明。その後会社紹介VTRを視聴しました。

引き続き、4班に分かれて工場内を見学。オフセット間欠機4台をそろえ、前述の高付加価値ラベルなどを生み出す「クリーンルーム」をはじめ、オフセット用CTPセッター2台を設備する「製版室」、CCMを確立した「調色部門」、フレキシブル刃を内製化した「刃型部門」のほか、さまざまな印刷方式の印刷機が並ぶ工場内を巡回しました。女性2人が調色とインキの供給を一手に請け負う調色部門では、手際の良い作業を目の当たりにして、感心しきりの様子でした。

見学後には、生産部の野川悦守部長(写真右)と宮島和義次長を迎えて質疑応答。会員からは「分業化やルール策定が徹底している印象を受けた」「各部門を横断してどう統括するのか」といった質問のほかに、若年オペレーターの充実や女性の比率の多さに感心した、といった感想が述べられました。

宮島氏は「すべてトップダウンで統括したりルールを決定したりする訳ではありません。発生したクレームに対して、現場オペレーターから『こういったチェック項目を設けては』といった自発的なルール策定が提案されます」、また野川氏は「印刷機のチューニングが合えば、新卒者でも女性社員でもオペレーションは可能です。『仕事が面白い』、と語る意欲的な女性オペレーターも多いです。女性が活躍することで社内がより活性化します」と回答するなど、活発な意見交換が行われました。
会員らは「大きな工場内でもしっかり統制が取れており、参考になった」「工程管理や品質管理が徹底され、その姿勢に学ぶべきところが多かった」といった感想が聞かれました。

株式会社フォーワテック・ジャパン
新潟県三条市直江町4-1-54
☎0256-35-3344

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続いて、三條機械製作所を訪問。
機械本部の相田智取締役本部長(写真中央)が「今日の勉強会が皆さんのこれからの事業展開に少しでもお役立ていただければ」とあいさつした後、司会の秋山英一朗氏が各担当者を紹介。次いで、今回実際に印刷を行う同社最新の凸版間欠機「ES-200」を紹介しました。

秋山氏は機構について、「セクショナルドライブの採用という選択肢もありますが、精密工作機械を製造する当社の特長を生かして、ES、NSシリーズは印刷部分の駆動に『カウンターシャフト』を採用しました。シンプルなシャフト構造ですが高い見当精度を実現しています」と説明。また「ES」シリーズについては「小型化、易操作性が特徴で見当精度の向上、原反ロスの減少、オペレーターの負担軽減に配慮しています」とコメントしました。

説明終了後、一同は実技デモを行う工場に移動。オペレーターは、全日シール連で技術委員長を務める山下庫太氏が務め、版貼りなどのサポートは自社で「ESシリーズ」を所有する園田正義氏が担当しました。

今回、会員企業が必要基材を提供。原反をリンテック、ラミネートを丸昌化学工業、版をフナミズ刃型製版、刃型を丸伸製作所が無償協力したほか、サンワコーケンがダイカッターを持ち込んで、トライアルを支援しました。こういった点も、Viepsならではといったところです。
初めて同社の印刷機を操作する山下氏、普段自社で使用する版とは仕様が異なる園田氏。いつもと勝手が異なる両氏は、思わぬ苦戦を強いられていました。
何とか調整を経て、プロセス4色プラス裏面1色印刷を実施。さらにこれをAM、FMスクリーン印刷で行って比較検証を試みました。
実演終了後、山下氏は「設定の変更を鋭敏に反映し、女性にも使いやすい設計」、また園田氏は「特徴、クセも従来機と同じ。ESが使えれば問題ないですね」と評価しました。

このほか、会員らは広大な本社工場を見学。三條機械の産業機械や工作機械、鍛造システムの製造現場を、説明員が手慣れた様子でていねいに解説しました。

終わりに宍戸チェアマンは1日を総括。

「印刷機やサプライ品は日々新しいものが上市されていますが、『うちはこれしか使っていない』と、目の前のもの・普段使用するものがすべてであるという錯覚に陥りがち。しかしそれでは進歩しません。今回、両社に大変貴重な機会をいただき、各位は自分の判断が正しいか否かを客観視するきっかけとなったのではないでしょうか。Viepsは今後も、こうした有益な勉強会を通じて、会員に刺激を提供していきます」と述べ、見学会は終了しました。

株式会社三條機械製作所
三条市猪子場新田1300番地
☎0256-45-3132

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その後会員らは燕三条駅に戻り、懇親会を実施。新潟の美味しい酒と肴を友に、工場見学の感想や印刷品質の検証の話はいつまでも尽きず、夜が更けていきました。