4月の勉強会報告

Viepsは4月13日、年に一度実施している「工場見学会」を開催しました。今年は大阪と京都を舞台に企画され、㈱志機大阪工場で同社のインクジェット(IJ)印刷機「PJシリーズ」を見学後、京都に移動して勉強会を行いました。

はじめに訪問した志機では、技術サービス営業担当の吉岡雅浩氏がPJシリーズの特徴と機械のスペックなどの基礎知識を紹介。次いで、コロナ処理機や検査装置、レーザーダイカッターといった拡張可能な豊富なオプション群、昨年の「IGAS2011」や9月の「Labelexpo Europe2011」出展後の国内外の反応なども丁寧に説明しました。

吉岡氏は場内に設置されたPJシリーズを用いて「ヘッドと基材のクリアランスを調節することで、薄手から厚手のものまで対応可能」、また硬化装置に採用したLED-UVについては「紙粉を巻き上げてトラブルの原因となりかねない空冷式ではなく、ファンやダクトがいらない水冷式を採用している」と紹介。Vieps会員は、配布した印刷サンプルを片手に印刷特性やPJシリーズの機能などについて質疑応答を行いました。

その後、PJシリーズを見学。吉岡氏は印刷機のパネルを開放してIJヘッドやLED-UVの構成を詳らかにしたり、タッチパネルで実際に必要な操作から印刷までを一通り実演してみたりと、PJシリーズの魅力をPR。都合1時間以上に渡り、会員らは各所で志機担当者との意見交換が繰り広げていました。

株式会社志機大阪工場
大阪市平野区加美東2-7-11
☎06-6793-311

終了後、一行は車に便乗して京都へ移動。京都市中京区のイノダコーヒ三条支店の会議室を舞台に、まず㈱ケイエムドキュメントの小林正紀社長が多次元シンボル「PMコード」を紹介しました。

PMコードとは、色情報をX、Y、Z軸に積層化させることで、画像や写真、音声データ、動画といった容量の大きなコンテンツをコード化したもの。専用アプリケーションをダウンロードすることでiPhoneがコードリーダーとなり、QRコードのように情報取得にデータ通信を行うことなく格納されたデータを再生することができます。
小林社長は、PMコードの構造や概念、実用性と想定されるビジネスモデルをいくつか提案したほか、4月からiPhone用アプリの無償配布を開始したことを報告。同氏は実際にデータの読み取りと再生を実演してみせ、PMコードの可能性を訴えました。会員からは、こういったシーンで使えるのではという期待感を感じる一方で「コードはカラーコピーできるのでは」「ラベル化して貼付した場合、曲面に対する読み取りは」といった鋭い質問が挙がっていました。

株式会社ケイエムドキュメント
名古屋市中区錦1-13-33 福昌名古屋ビル7F
☎052-232-2951

次に、京セラから薄膜部品事業本部の三木直樹氏がLED-UV技術と実用事例の紹介を行いました。
三木氏ははじめに、自社の概要と京セラが供給するサーマルヘッド、IJヘッド、感光ドラムといった印刷用各種デバイスを紹介した後、LED-UV装置を説明。同氏は「照射出力とエリアに応じて最適なモデルが選択可能なほか、照射距離が離れても照度低下が小さい」といった自社装置の特性と優位性を解説しながら、ラインアップや装置の設備構成に言及しました。

「空冷方式は、一般的に室温とほぼ同じ温度までしか下げられません。仮に工場内が30℃ならば、30℃までしか冷却できないという訳です。一方、水冷方式は外気とは関係なく、例えば20℃に設定すれば20℃で冷やすことができ、ランプが十分な乾燥性能を得るために必要な冷却が行えます。また、空冷方式のファンやダクトがいらないので設置工事が不要。ファンやダクトの騒音がなくなって静音性を確保するほか、チラーの電気代を含めても十分に省エネです」と水冷方式の利点をPRしました。

京セラ株式会社
京都市伏見区竹田鳥羽殿町6
☎075-604-3753

最後に、ゲストに招かれた㈲西野シールの西野恒雄社長が登壇。同社の凸版間欠機に京セラのLED-UVを実装して、専用インキではなく通常のUVインキに対する順応性を検証した結果報告を行いました。
あくまで一事例と前置きした上で「一定の手応えがあった」と語った西野社長の画期的事例の報告に対して、会員は真剣に耳を傾けていました。

勉強会終了後は場所を祇園に移して懇親会を開催。ちょうど桜の開花のピークを迎えた時期と重なったこともあり、夜桜を眺めながら各々春の京都を満喫しました。