11月の勉強会報告

Viepsは11月15日、東京・銀座の中小企業会館で勉強会を開催し、メンバーら20人が参加しました。
当日の講師を務めたのは、「ラベルフォーラムジャパン2012」でも講演したエスモーション㈱の冨田尚CEOで、演題は「『スマート革命』とデジタル印刷―アプリやAR(拡張現実)と印刷との繋がり―」でした。

冨田CEOはかつて、ラベル製造にも携わる印刷会社に勤務しており、印刷産業に精通しています。ARというとデジタル媒体であり、紙媒体の印刷産業としては、ある意味「相容れない存在」と思われがちかもしれませんが、機能を有効活用することによって、お互いの課題を克服し合う可能性を秘めていることにほかなりません。

冨田CEOは最初、印刷会社に務めていた経験に基づき、スマートフォンを使ったアプリケーションによる印刷産業の可能性について話しました。その中で「女性が携帯電話を手にしたことで起こった『ケータイ革命』と同様、スマートフォンの普及による『スマート革命』が発生しています。これによって、印刷産業でも新たな展開が訪れているのです」とコメント。
すなわち、情報が印刷された紙を配布するといった行為が、デジタルメディアに置き換わっている厳しい現実を正確に把握しつつ、一方で今後のラベル印刷に求められる展開について、マーケティング活動の重要性を説明しました。

さらに冨田CEOは続けます。
「マーケティングとは、『つくって売る』から次の段階に移行しつつあります。その一つは『ブランディング』。業績を伸ばしている企業は、いずれもブランディング活動で成功を収めており、顧客と良い関係を築いているのが特徴。印刷は見るだけの存在から〝感じるメディア〟を目指すべき」
「特にラベルに関しては、消費者に対して多くの情報を伝達する必要がありますが、細かな文字を印刷しても、高齢化が進む社会にあって、消費者が見えない状況に陥ってしまいがち。しかし、ARの機能でそれを補うことが可能となるのです」

ラベルの印刷に新たな付加価値が求められている現状を指摘した同氏は、消費者が商品を購入する際、全体の62%がオフライン広告で購入商品を決定しているといったデータを紹介しつつ、ラベルの重要性を挙げ、スマホのアプリやARなどのソリューションを活用した「動くラベルの時代」が近づきつつあることを説明。
「具体的には、ラベルのデザインをスマートフォンのアプリで読み取ることにより、液晶に映し出されたラベルのデザインが動き出すといったおもしろさも追求できます」

今後、さらに普及が進み、低価格で取り組むことができるならば、あらゆるラベルのデザインが、スマホの画面上で動いたり、音を出したりする、そんな楽しい未来の到来を予感させる勉強会となりました。