3月の勉強会報告

Viepsは3月15日、中央区銀座の中小企業会館で勉強会を開催しました。
今回は、Viepsが前期から活動を継続しているBCP(事業継続計画)に関連する内容です。講師に富士ゼロックスを招いて、クラウドサービス「Working Folder」(ワーキングフォルダー)を用いた業務改善プランにについて、運用効果などを学びました。

ワーキングフォルダーとは、富士ゼロックスが運営する月額課金制のクラウド型ストレージサービス。PCやタブレット端末からアクセスして、ドキュメントの閲覧、アップロードやダウンロードを行います。国内複数のインターネットデータセンターに専用区画を設けて運用しており、基準値最高レベルのティア4の信頼性を確保しているとのことです。
講師の基盤ソリューション営業推進グループ・狩野良太氏ははじめに「クラウドとは何か」といった初歩的な語句の説明から、概念図、類似技術との違い、クラウドサービス市場の売上高推移などの基礎知識を、スライドを用いながら分かりやすく概説しました。

「特に3.11以降、企業のクラウド運用に関する関心がさらに高まりました」と述べる狩野氏は、「震災後、交通手段が断たれて会社に通えない状態でも、自宅からクラウドにアクセスして仕事ができました」というBCPの実例を紹介。
クラウドサービスによる課題解決が期待されるシーンとして、

  • BCP(ビジネス継続)…交通手段が利用できず勤務地へ出勤できない、情報資産の遠隔地へのバックアップ
  • パンデミック(出勤停止)…感染拡大を防ぐための一定期間隔離
  • 「TCO削減」(コスト・節電・CO2)…設備投資、維持管理、更新費用の削減や機器を保持しないことによる節電、CO2の削減
  • 業務効率改善(営業活動の変革)…モバイル端末の活用、情報の入力/閲覧業務の短縮、情報共有領域の拡大、レスポンス時間の短縮

といった形に要約。
併せて導入のメリットを▽所有するには高額なアプリケーションを安価で使用する『敷居の低さ』▽メンテナンスも管理者も不要の『管理コスト』▽専門事業者が管理する『セキュリティー性』▽外出先から自社の情報資産にアクセス可能『いつでもどこでも』、と4点にまとめました。

同氏はアクセス権の設定や操作履歴表示、IPアドレス制限などのセキュリティー面の管理機能を解説した後、最後に同氏は具体的な活用例として税理士業の事例を紹介。
「顧問先への説明に訪問する際、いつも膨大な書類を持ち歩かなければなりませんでした。戸外に持ち出す以上紛失の可能性も発生し、また膨大な資料のコピーや保管、シュレッダー処理に無駄を感じていました。そこで、資料をスキャンしてデータの電子化を図り、iPadを使用しウェブ経由で資料を閲覧。参照した資料はiPad上で破棄と――、といったクラウドの活用を実践しています」と解説。BCP用途以外にも、通常時からクラウドサービスを導入することで得られるスケジュール共有や情報共有、決済ワークフローの短期化といった運用効果とその実例、また拡張性や課題など、クラウドサービスについて多角的に学びました。

続いて、特に小ロットのオンデマンド印刷用途としてラベル業界内でも相当数の導入数を誇っている、ゼロックスのカラー複合機「DocuColor」の紹介と運用提案について講演。富士ゼロックス首都圏㈱のプロダクションサービス推進グループ・江頭文夫マネージャーが、同機を複数設備する都内のラベル印刷会社などをピックアップしながら、各社のビジネスモデルや“使われ方”を講演しました。

江頭氏によると、その会社ではDocuColorを「ヤレがなくなりコスト削減」「4版不要でカラー印刷が行える」「サンプルを即時提出できる」「色の管理が容易」、といった点で評価されていますと報告。「従来のワークフローでは実現が難しい短納期・小ロット対応を確立したほか、可変情報印刷にも有効活用していただいています」と紹介しました。
聴講者からは、対応可能な基材の種類や厚み、のりの染み出しの可能性など、さかんに江頭氏へ質問を寄せていました。

なお、今回は会員以外にも複数の方が視察に訪れ、勉強会後の懇親会で会員と親交を深めていました。