11月の勉強会報告

Viepsは11月17日、中央区銀座の中小企業会館で勉強会を開催しました。
今回は、会員間の相互理解を促進する恒例のプレゼンテーションです。プリンターとメーカー3社がエントリーして、自社の製品サービスの紹介、加工技術の説明を行いました。

トップバッターは、加工機や周辺機器メーカーである㈱サンワコーケン。加藤伸幸課長が講演しました。

前身の三和技研の時代も含め、特にシール・ラベル業界に広く普及しているのが、同社を代表する「PTカッター」シリーズ。近年は小型の凸版間欠機を印刷機メーカー各社が販売していますが、それに応じてよりコンパクトなカッターもラインアップしていると同氏。ほかにもタッチパネルタイプ、超高速タイプ、透明基材にも対応するタイプとがそろいます。
ほかにもスリッター群や、ログ管理付きの計数機「MKS-100TM」、最新モデルのストック式高速カッター「PTS-350α」、さらに枚葉とロールのどちらにも対応した最新のレーザーダイカッター「MDC-LASER-06A」などを、配付資料や動画を交えて主要な特長や機械特性を説明しました。
同氏は「昔はカタログに掲載する機械を電話で注文いただくような、いわゆる〝今あるもの〟を右から左に売っていました。現在はまったく逆。〝今ないもの〟が求められ、個々の使用環境やニーズに即した特注品が求められます」と顧客ニーズの変遷を分析。これに追従するサンワコーケンの対応力と開発力を訴えました。

続いて、㈲ラベルアンドメイクの林泉社長が登場。林社長は「ポッティング加工のあれこれ」と題して、同社が得意とする技術について講演しました。

「ポッティングとは、透明の液体を化学反応で凝固・乾燥させたもの」と基礎構造について林社長。消しゴム程の柔らかい硬度の「ウレタン」、アクリルが主成分の「UV硬化型樹脂」、キーホルダーなどにも用いる高硬度の「エポキシ樹脂」と、大別すると3種あるとそれぞれの性質や主な用途を説明します。
次に、実際どのような手法で加工するのかを図解で順を追いながら解説。これと共に▽表面樹脂が乾燥する際の収縮で反りが起きる基材メディア▽鋭角や直角部分からは液体がこぼれる▽加工可能な高さの上限と最低パイ数▽持ち込みの場合の注意点――と、ポッティングに関わるあれこれを詳らかにしました。
「(シールの単価が)安い、という要素も、顧客にとっては一つの付加価値に違いありません。価値あるものを提供しているという点においては、安いことを卑下することも本来ない訳です。ただ当社は、安さ=価値の図式を追わない。シールに立体感を与えて高級感を演出し、魅力あるものにするという安さとは異なる付加価値を追求しています」と語る同氏は、チェンジングやレンチキュラー表現を加えたラベルにポッティングを施す加工見本を配布して実証しました。

最後に登場したのはMSP㈱。小宮山覚司専務が自社のAR事業を紹介しました。
ARコンテンツを簡単に制作できるというスターティアラボの「COCOAR」(ココアル)を採用して、AR事業を展開するMSPの採用実例を小宮山専務が説明します。

それによると、あるとき焼き肉のロースターを作るメーカーのDMを受注。送付先は購入者の各店舗や運営会社で、目的は〝ロースターを定期的に正しくメンテナンスを行ってください〟というアナウンス。「これを怠ると、脂質の多い和牛から流れた油脂成分が固まり炭化して、火災の原因となり得るから」と同氏。従来型のデザインでは注意喚起の効果が薄いということで、デザインを何度も提案し双方で検証を重ねた末に、ARの採用に至ったと語ります。
実際のVTRを視聴しましたが、俳優やナレーションの入った本格的な映像。映像製作会社を通じて本格的な紹介VTRを撮影したのだと解説します。こうして、はがきのスペースにシールを貼ってARによる文字と映像で情報配信したことを報告しました。
実験的に会員企業の会社ロゴやキャラクターにARを施してみましたとスライドを映すと、その場で読み取りの専用アプリをダウンロードした聴講者がモバイルをかざす姿が見られました。

「シール・ラベルだけ印刷していては範囲が限定される。ラベル印刷に携わる各位に、ARを使用して継続的な売り上げの手伝いを提案します。ベースとなるプラットフォームを当社が提供するので、業界全体がこういう仕組みをうまく利用して相乗効果を得ていければ」と結びました。