11月の勉強会報告
任意団体Vieps(宍戸伊助チェアマン)は11月16日、東京都中央区銀座の中小企業会館で勉強会を開催しました。
今回は、国内外の大手粘着紙メーカー3社が一堂に会するというあまり例を見ない意欲的なブッキング。そんなViepsならではの講演に、会員ら約30人が出席しました。
はじめに登壇したのは、粘着紙世界最大手メーカーの日本法人。エイブリィ・デニソン・ジャパン・マテリアルズ㈱の岡島大セールスマネージャーが講演しました。
はじめに岡島マネージャーは、米国エイブリィデニソンのグループ概況に次いで、9月の「ラベルエキスポヨーロッパ2015」で披露したいくつかの製品について紹介しました。このうち、上市したばかりの銀ツヤ仕様の「蒸着PE」や、二軸延伸の無地「PPホロ」の新加飾素材については、実際に印刷を施し素材の〝使い方〟を明示したサンプルを配布。
また、9月のラベルエキスポヨーロッパで披露した「バイオPEラベル」については「焼却廃棄が多い日本では、埋め立て廃棄で効果を発揮するポリ乳酸はコンセプトに合いづらかった。当製品はサトウキビ由来のバイオエタノールを使いPEフィルムを成膜しラベル化。製造工程でCO2排出をゼロにするコンセプトで環境配慮を実現しています」と有効性を説きました。
続いてUPMキュンメネ・ジャパン㈱の宝木修一セールスディレクターが登場。最初に粘着ラベルを製造するUPMラフラタックについて企業規模や製造拠点の分布と各拠点の製造内容、マーケットシェアなどアウトラインを説明しました。
次にアジアの拠点の一つである中国・常熟市の工場の概略に言及。
2007年開設の同工場敷地内では現在、UPMが生産するグラシン剥離紙をUPMラフラタックに供給する一貫体制を整備中。これに伴い、フィンランド本国からの輸入から切り替えが図られ、強いサプライチェーンを確立すると宝木ディレクターは説明します。このほかにも、コーターの増設を果たすなど最新事情に言及しました。
「工程の自動化が進み、ロボットがロールの搬送、セット、回収して作業員の安全を守りながら人為的ミスを抑止。同時に、製品の信頼性と品質を確保しています」「敷地内に研究開発センターがあり、クレームの要因分析や新規技術開発を実施しています」といった特徴に触れました。
終わりにリンテック㈱から営業技術グループの宮﨑健太郎係長が登場し、新製品とこれから上市する製品の計5品目を一挙説明しました。
このうち「使用済みPETボトルから生まれた環境配慮型ラベル」と「カイナスKP5000」を紹介した同氏は、再生PETフィルムができるまでをフローチャートを交えて詳しく説明。前の2社と異なる手法でCO2削減に臨む点を説き、「バージンPETと同等レベルの品質確保を実現しています」と特性を訴えていました。
終了後には、質疑応答を実施。海外2社の粘着紙や粘着フィルムをかつて購入した経験のある企業が多い様子で、「当時のクォリティーは…」「印刷機上で一度…」など、どちらかと言えば強く印象に残っているエピソードから、各社の技術トレンドや機能性素材の最適な応用分野に関する相談まで、白熱したやりとりが行われました。