9月の勉強会報告

任意団体Viepsは9月16日、中央区銀座の中小企業会館で勉強会を開催しました。
今回の演題は「事業継続計画(BCP)への取り組み方」で、講師を担当したのは㈱インターリスク総研。事業継続マネジメントグループマネジャーの田代邦幸上席コンサルタントに講演いただきました。

冒頭、BCPの定義に次いで最低限抑えるべきことに触れた田代氏は、その一つに「BCPだけでなくBCM(事業継続マネジメント)として取り組むこと」を主張します。
そのBCMについては「事故や災害等による事業中断が発生する可能性を想定し、これによって自社、取引先、関係者が被る損害を小さくするため組織の対応力向上を図る包括的な取り組み」と定義。「完成度の高いBCPを作るのではなく〝BCMライフサイクル〟を繰り返す中で、対応力を高めていきます」と推奨しました。

またBCMに不可欠な議論として田代氏は「取引先は事業継続に何を・どの程度期待しているか」「ライバル企業との差や市場専有率といった自社ビジネスの状況把握」などの要旨を定義。、個々の企業の事業内容や社会的ポジションによって異なる旨を前置きした上で、田代氏は「BCMに取り組む目的」を次のようにまとめました。

①売上・収益に対する悪影響を小さくするため
②市場シェアを落とさないため
③顧客・社会に対する供給責任を全うするため
④企業のイメージを維持するため
⑤従業員、ステークホルダーの損失を防ぐため

同氏は「供給が止まることで最も早く再開させたい業務は何か。そのためにほかを〝捨てる〟判断はトップしかできません」などと説いて、「BCMライフサイクル」の運用法などを詳しくレクチャー。「いきなり成功する必要はまったくなく、むしろ実践してうまくいかなかった部分が見つかり、改善すべき課題は何だったかという課題が数多く見つかれば、演習は成功です」と述べた田代氏は「できるとこから、やりやすいところから、できる範囲でやりましょう」とBCMライフサイクルの模式図を示しながら解説。完成度の高いBCPを作るのではなく、BCPライフサイクルを繰り返す中で対応力を高めていくことが狙いであると説明しました。

参加者からは、BCPと聞いて災害対策の何か特別なハナシかと思ったが、日々の経営方針や事業戦略と密接に関わり合う普遍的な事象だと判り、とてもためになったと感想を述べていました。