1月の勉強会リポート

任意団体Viepsは1月24日、中央区銀座の中小企業会館で2017年初の勉強会を開催しました。
「ラベル印刷会社における基本的なマーケティング手法の実践事例」をテーマに講師を務めるのは、山王テクノアーツ㈱の田中祐社長。東京都正札シール印刷協同組合で副理事長を務めるほか、上部団体の全日本シール印刷協同組合連合会では、副会長以外に経営委員会の委員長にも就いています。昨秋実施した正札協組での講演が好評だったという前評判を受け、普段よりも多い30人が出席しました。

冒頭、田中社長は「今日の内容は、昨今話題のウェブマーケティングやビッグデータではなく、それと対極にある言わばマーケティングの古典。それでも、古典のセオリーは中小企業で十分通用します」と提唱。自社を例とし、種々のマーケティング理論を解説すると語りました。

はじめに基礎情報として、自身の職務経歴から自社の会社概要と沿革、事業ドメイン、設備状況、売上推移、特殊技術、主要取引先までつぶさに公開。山王テクノアーツは車両ラッピングを得意としており、施工事例を紹介したスライドには、電車や自動車、新幹線や航空機の「あの部分か」と誰もが目にしたことのあるロゴやマーキングが次々と映し出されます。ちなみに、風速数10m、マイナス数10℃の過酷な環境に耐えるモノを作りそれを納めているという事実が「飛行機で大丈夫なのだから、さぞ……」と、信頼を高める効用を発揮しているそうです。

「マーケティングとは何か」。マーケティングの定義をアメリカマーケティング協会、日本マーケティング協会、ドラッカー、コトラーの引用から紹介した上で、田中社長はごく端的に言い表すと「売上を最大化する活動」だと提言。その上で、『4P分析』『SWOT分析』『アンゾフの成長マトリクス』『ポーターの競争戦略』『コアコンピタンス』などといった主要な学説やマーケティング用語を、「これを山王テクノアーツで当てはめますと」と、逐一置換しながら理論を概説しました。
『PPM』(製品ポートフォリオマネジメント)では、同氏は「当社の“負け犬”はアナログ印刷機」と公言。“問題児”はデジタルラベル印刷機、“金のなる木”はスクリーン印刷機、“花形”は大判IJPと発表し、その根拠も付け加えました。

「顧客の発注先に占める“当社のシェア”を増やすには、『なぜうちなんですか』と選ばれる理由を尋ねると、外から見た自社の強みが分かる」「SWOT分析はチャートを作って止まっていてはいけません。強み×機会、弱み×脅威と、各要素を掛け合わすクロス分析まで実践しましょう」「社長だけで分析をやろうとしても無理です。自分が見聞きしている情報以外は入ってきませんから」などと提唱。100分にわたる講演の終わりには、同氏独自の「釣り人の法則」「逆張りの法則」といったセオリーを披露して、最後に「勉強会に出ても実行しないのが一番の悪です」と聴講者へ釘をさして終了しました。

終了後、会員からは「ビジネス本のいいところ取りの羅列ではなく、古典を講師が租借して具体的事例に落とし込む内容がとても身近に感じられ、分かりやすかった」「また続きを聞きたいと感じた」いった充実の感想が聞かれました。