9月のオープンセミナー報告

任意団体Vieps(宍戸伊助チェアマン)は9月7日、東京都千代田区平川町のホテルルポール麹町で「秋季オープンセミナー」を開催しました。

Vieps会員外も聴講可能な公開型イベントの実施は、2年ぶり2回目。「若きリーダーに学ぶ生き残りの法則」と題した90分のパネルセッションに、当日は遠く九州からも足を運ぶ聴講者も見られ、72人が聴講しました。

パネラーには今回、独自性のあるビジネスモデルを展開して成功を収めている企業の若きリーダーを招へい。単なる製品知識や加工技術に留まらない、各社の人材育成、事業戦略、経営史観など、ものづくりに従事する企業として参考にしたいマネジメント術を、3者のパネラーに発信してもらいます。パネラー各位による自社分析を通じて、各社固有の〝強み〟や〝脅威〟を明確化しつつ、そこから普遍的なマネジメント術を探って生き残り術を見出そうという趣旨に基づきます。

パネラーを務めていただいたのは、田中祐氏(山王テクノアーツ㈱社長)、窪田祐一氏(㈱サニー・シーリング社長)、佐藤紘之氏(丸天産業㈱常務)の3者。 セッションのテーマは以下の通りです。

①自社紹介と自己紹介②ポジショニング分析~当社の「ポジショニングマップ」③経営戦略を立案する際に意識している思想、規範、思考法は④生き残るための「世代交代と人材育成」⑤日常の中にイノベーションをいかに呼び込むか⑥当社にとっての「脅威」と「次の一手」⑦当社にとっての「生き残りの法則」とは⑧質疑応答

論客3人を相手に、とても90分で片付く内容でもなければ、とてもここでその全容を報じられる分量ではありません。申し訳程度に、ほんの少しだけご紹介します。

②では各社がビジネス展開に際してどのような差別化を推進しているのかを縦・横軸を用いて位置づける「ポジショニングマップ」を発表しました。

同マップに関して、メディカル関連ラベルを製造するサニー・シーリングは、品質と価格の双方を高い水準で分類するとともに「近年、印刷技術は向上しており、高品質なラベルを提供するのは当然。当社のポジションは今後、付加価値を追従した『機能性』重視へと変化していくでしょう」(窪田氏)と分析しました。

QCD(品質・コスト・納期)とサービスの満足度を軸にマップを作成した丸天産業の佐藤氏は「当社の強みは〝サービスの満足度〟。製品の見積もりや納期などを当事者間で把握できる独自開発のアプリケーションを運用中です。また、新サービスも盛り込んでいきたい」と今後を見据えました。

飛行機や電車などのラベルを手がける〝業界特化型〟で、なおかつ印刷から施工、コンサルティングまでを請け負う〝複合サービス型〟に分類した山王テクノアーツの田中氏は「同業他社が参入しづらい仕事を集中して受けた結果、それが得意分野となりました。蓄積した製造ノウハウを顧客へ提案できることが、現在の強みになっています」と紹介しました。

続いて④や⑤の設問では、3者3様それぞれの視点で説明を行いました。

田中氏は毎年、長期的な目標を「経営計画書」に記述。「たとえ大それた目標でも、信念を持ち社員に訴え続ければ、それに応えようと行動に移し始めるもの。目標を設定することで〝逆算思考〟のイノベーションになる」(田中氏)と強調し、〝経営計画書は魔法の書〟であると表現しました。

窪田氏は「アイデア=知識・経験×問題意識×思い」といった自身の公式を披露。優れた人材でも、世の中の問題を自らに置き換えて製品開発をしなければアイデアは生まれず、イノベーションは起きないと持論を展開しました。

佐藤氏は人材育成の点で「外国人技能実習制度」の有効活用を提唱。また、イノベーションの創出にはSNSなどを通じて拡散力ある人と協働していくことを挙げました。

聴講者からは「当社の現況を見つめ直すきっかけになった」との声も聞かれるなど、結局120分を越え繰り広げられたセミナーではありましたが、「本当に勉強になった」「今日聞きに来なかった人は損したと言える」と概ね好評でした。セミナー後は同所で懇親会も行われ、興奮の余韻のまま口々に今日の感想を論じ合っていました。

今後もViepsでは、公開型セミナーを実施する予定です。ご興味のあるプログラムでしたら、ぜひお気があるにご参加ください。