4月の勉強会報告

任意団体Vieps(木原一裕チェアマン)は4月19日、月例勉強会を開催。ラベル印刷会社を訪問する人気のコンテンツ、企業視察を実施しました。

そんなワールドプリンタ―を率いる齋藤社長の経営理念と戦略、同社のビジネスモデルに寄せる期待と関心の高さは特筆。ヴィープス会員も複数名が参加したり、今回に併せてゲスト参加企業が複数加わったりと、当日は約30人が参加しました。

JR尾久駅に集合した大所帯な一行を、シールの色で3版に区分。初めに同社スタッフに引率されたのは、駅至近の看板もない建屋です。よく知る本社からも少し遠いのにと思っていたら、同社へ新しく加わったスクリーン印刷の工場でした。近くて遠い、知っているようで詳しくはしらないスクリーン印刷を目の当たりに見学しました。作業を見守る中で、担当者は「実験的にのり引きにも挑戦している」と説明してくれました。

次に、徒歩で移動してデジタル印刷機専用の別棟に。まだ国内ユーザーがさほど多くないモデルで、電子写真方式の同機によるPETフィルムへのファンシーシール印刷を見学しました。「和紙、上質、サテンもきれいに刷れます」とオペレーターさん。新しく綺麗な建屋には同機1台が鎮座していて、あるいはこのデジタル機のための専用拠点なのかも知れません。ワールドプリンターさんの動機にかける思いが垣間見えます。

その後近くの本社工場に移動。ビルの1階は総務や業務部のようですが、ガラス張りで木質系の造り。およそ印刷会社には見えず、工場と住宅街の中にあってカフェかヘアサロンのようです。「女性スタッフがより働きやすいよう環境投資を図り、数年前にリノベーションしました」という説明に、感嘆の声やうらやましいという感想が集まりました。

その後2階から4階まで順を追って見学。「キャラクターものや品質に厳しいもの、トーンジャンプを避けるときはこれで」というオフセット間欠機のフロアに、先ほど見学した機種とは別の電子写真方式のデジタル印刷機とレーザー加工機のフロアが。レーザーが「チッ…」と照射され一瞬でシールを抜いていくシーンは、知っていてもつい目が離せなくなります。

圧巻だったのは、POPラベルをワンパスで製造する独自のソリューション。間欠機の後に剥離紙を剥がして裏面にニスを塗り、貼り合わせた後に抜き加工を施すという、全社メーカーが異なる機器を複数連結して稼働する姿に一同目を見張りました。

視察を終えて全員で開始義室に集合。木原チェアマンの御礼に続いて、齋藤社長がとの質疑応答を行いました。事前に社長からは「見学は常に〝なぜ〟の視点を持って見てもらい、事後の質疑応答で沢山聞いてください」とリクエストをいただいていました。すべて載せられませんので、絞ってお伝えします。

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Q1.メーカーもバラバラな機械を連結させてワンパスでPOPラベルを製造する仕組みが組み挙がっていて感動した。誰が発想するのですか。

当社の常務が行っています。

同じ印刷機でもメーカーそれぞれによい所も駄目な所もあります。機械メーカーさんはすぐ「できない」と言いがちですが、できないことはないですよね。メーカーも異なり装置もバラバラですが、機械間の電子的なやりとりも実際調整できましたから。できないを言わせないことも重要と考えます。

いつも言うのですが、よい機械でないとオペレーターの人生変わってしまいます。ですから、機械メーカーにはいつも「ベストなものを出してほしい」とお願いします。しっかりと主張することが大切です。そうしたせめぎ合いをしたうえで、ベストなコンディションを整えた機械を出していただきたいものです。

SWOT分析をすると、うちの会社にはこのスペックが一番いいんかもしれないなど長年勤めている人じゃないとなかなか見出せない部分があるのでは。信頼のおけるスタッフがいらっしゃるのであれば、一緒になって立ち位置と最適な設備投資を検討してみてはどうでしょうか。

Q.2社員の気持ちが離れてしまったとき、誰かフォローとかするのですか。

一時はまったくいない時期もありましたよ。

でもぶれてはいけないこととして、基本的に社長の最大の仕事は給料払うこと。払えなくなったら社長じゃありません。それを守るためにどうしたらいいかと動いていく上では、甘いことを言ってられません。市場には競争原理があり、競争に勝っていかないと結局給料を払えなくなります。

会社は『養殖場』のようなもの。いけすがあり魚がいて、綺麗な水もエサも常に入れなければなりません。魚が育ったら売りに行く必要があり、新たな水や魚をまたいけすに入れなければならない。それぞれがそれぞれの役割を担っています。その共同体の共有するテーマは〝ここに来ればいつもご飯が食べられる〟ということ。最低限これだけは守りましょうと説いています。理解してもらうためには、何年もかけて教えるしかないのでは。

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「ほかにもこれだけフロアも分かれ拠点もいくつかあると、コミュニケーションはどうとっているのですか」「例えばカラー4色でナンバリングがある仕事があるとすると、貴社では選択肢はいくつもある。誰が、どういう基準のもと仕事の振り分けを行いますか」「いちばん稼ぐ機械はどれですか」「社長の考えは社員にどう伝えているのですか」などが挙がり、齋藤社長は1つの質問に対して2にも3にもしてお応えくださいました。

終わりに木原チェアマンは「斎藤社長への恩返しは、各位が社に戻って学んだことで変革に挑むこと。行動することで報いたいですね」と結び、参加者は齋藤社長に拍手を送って謝意を示しました。