10月勉強会報告

任意団体Vieps(木原一裕チェアマン)は10月20日、文京区春日の文京シビックセンター会議室で10月度の月例勉強会を開催。オンライン参加も含めて会員ら12人が参加しました。

今回のテーマは「ChatGPTの概要と仕事での活用方法」について。生成AIのイロハから具体的な運用演習まで体系的に学ぶ…というより、まずはAIとは何か・ChatGPTをどう使っていけそうかというものをカジュアルに知ってみようという回です。講師は、エンジニアでBytAgile(ビートアジャイル)代表の佐々木雅文氏が務めました。

佐々木氏は国立大卒後、システム開発業界一本で従事。システムエンジニアとして自治体向け介護保険システム開発に証券会社システム開発、大手WEBサービス開発などに携わり独立、2024年1月からビートアジャイルを起業するという人物です。そうした自己紹介を経て「今さかんに取りざたされるAIですが、例えばChatGPTを実際に社会でどう活用しているのか。実例紹介に加えて実際に操作して実践することで説明していきます」と語りました。

「ジェネレーティブAI」とも称される生成AIは、あらかじめ学習したデータを基に、画像や動画、テキストを自動生成してアウトプットすることができる技術。その一種がテキストを自走生成するChatGPTであり、研究機関OpenAIによって22年に公開されました」とし、佐々木氏は次のように説明します。
「ChatGPTとは、ウェブ上の大量の文字列データをもとに出来上がっているサービス。つまり元々あるデータを使って新しい回答を示す、というもの。こちらが投げかけた質問に対して、今まで分析した大量のデータをベースに要素を組み合わせて『回答を生成する』というもので、そこに生成AIを用いています」

「ChatGPTを実際触ったことがある、という人はどれくらいいますか」と続けて「ウェブブラウザ上で実行可能で専用ソフトをインストールする必要もないことから、例えばスマホであってもChatGPTを運用できる点も特徴の一つ」と補足。高度な次世代テクノロジーを誰もが体感し運用できるというChatGPTの拡張性や汎用性を背景に、公開直後から一般の人がグラフィックデザイナー顔負けの画像を自動で作ってみせたり、困難なプログラミングや数式を一瞬で自動生成してみせたりと、社会に大きな影響とインパクトを与えているのだと位置づけました。

「チャットボットのように〝この文字がきたらこう返す〟といったパターン化された規則的な自動返答ではなく、本当に人間が向こう側にいるのではないかと思えるくらい自然でリアルな会話ができるようになっている」と佐々木氏。これを構成する中核として、21年までのウェブ上の情報が基礎になっていると注釈を入れ「明日の天気を教えてと質問しても『分かりません』と回答できません。なので、根本的に〝正しい情報を知りたい・得たい〟といったそういうためのものではなく、〝会話ができる〟という部分が、ChatGPTの本来の機能になります」と説明しました。
21年以降の情報はどうなるのか・更新されるのだろうかという聴講者の質問に対しては、持論ながら「そこに対しては、ChatGPTは積極的でないのでは」と回答。
「繰り返しになりますが、ChatGPTは新しい情報を返すことが目的ではなく、あくまで人間とリアルなコミュニケーションを取るための存在。人間が2021年以降何かよほど進歩しない限りは、それ以前のウェブに溜まっていたデータで対話を構築するには必要十分なので、そこから先の情報を使いたいときはChatGPTえはない別のサービスが補完することになるでしょう」と解説しました。

これに関連する形で、佐々木氏は「ChatGPTでできないこと」にも言及します。
「ChatGPTも、あくまで今まであった文章を理解して人間の会話を再現してはくれます。ただ、今までになかった画期的でカッコいい文章を作ってくれ、と指令しても『カッコいい文章とは何ですか?』と質問を返してきたりします。なので、カッコいいとはこういうことだと定義する必要があります。こうして“カッコいいとはこうだ”と人が定義した時点で、その人が想像しているいわゆるカッコイイものができあがってくることになります。仮に自分が想像できなくても誰か別の人が想像できるものなら、やはり誰かができることだったりします」
「要は、ピカソが存在しない時代に『ピカソみたいな絵を描いてみて』と指示しても、AIには描けないということ。今までできなかった何かすごいことができるかってよりは、今までよりもっとやりやすくなった、簡単にできるようになった。というふうな捉え方をしてもらった方がいいかなと思います」

過去の蓄積、元々あるデータを使って新しいものを示す。なので、企業がいきなりAIを導入しても運用することはできず、最低限紙ベースではなくデジタル化されデータが存在していることがAI運用の大前提である点も指摘しました。

「今日のスライドのデザインやレイアウトも実はAIで作ってみました」、と打ち明ける佐々木氏。続いて、実際に操作してみて実力を知ろうと座学から実技に以降しました。ちょうど間もなく企業するからということで、佐々木氏の名刺のデザインを生成AIで作り込んでいくフローを皆で体験しました。「もっと色を派手に」とか「印刷しやすいようもう少しシンプルに」などと具体的に指示。その都度、ものの数秒でデザイン案が次々生まれてくる実演に、参加者から感嘆の声があがっていました。

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Viepsでは、毎月1回こうした勉強会を実施しています。なお欠席者には、当日のZoomの録画データによる「後追い学習」対応にも間もなく対応していきます。今回の生成AIの講座も、動画だと圧倒的に分かりやすいうえにずっと楽しく面白いです。
体験参加も随時受け付けています。Viepsの公式Facebookページからメッセージを送ってください。
皆さんのご参加をお待ちしています。