1月の勉強会報告
任意団体Vieps(木原一裕チェアマン)は1月24日、文京区春日の文京シビックセンターで1月度月例勉強会を開催しました。
2024年最初の勉強会ですが、その間ご承知の通り元日には能登半島地震が発生。実は元Vieps会員企業が石川県に移転し、震源地に近い都市で地震に見舞われました。被害こそ決して小さくありませんでしたが、持ち直して再開を果たしたようすでした。またその翌日には羽田空港で大きな事故が起きるなど、24年は波乱の中で幕を開けました。
これを受けて木原チェアマンは年頭のあいさつにあたり、被害に見舞われた方々に気持ちを寄せ、お見舞いの言葉を述べました。
そのうえで「依然当業界ではモノの値上がりや人件費の高騰と、経営していくには大変な時代が続いている。こうした課題に見合うような勉強会を企画したり、また何か有益な体験ができたりすること、何より出席した人が楽しいと思っていただけるようなことをしていく会にしたい」と決意を語りました。
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さてあらためて、新春最初の演題は「パート従業員の年収の壁、支援強化パッケージについて」。今春から改定したり施行したりする諸施策について、社会保険労務士の澤井清治氏に講演いただいました。澤井氏は複数のVieps会員企業ともお取り引きがあり、そのご縁もあって年一レベルで最新の法改正事案や対応が必要な内容をレクチャーくださる実に頼れる存在。団体で契約して、サブスクのように困ったときに電話するなどして助けてもらえないか、など斬新な案も飛び出すくらい信頼を寄せています。
今日の全体的な内容は次の通りでした。
①労働条件の明示事項の改正(令和6年4月1日~)
②有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準の一部改正
チンプンカンプンな条文に都度解説を加えていただきながら、80分以上とても丁寧に分かりやすくレクチャーくださいました。それを一つずつ順に書き記していく訳にもいきませんから、少しピックアップしてご紹介します。
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令和6年4月1日から労働基準法15条の明示事項が改正となる。
(1) 労働条件明示事項の追加(労基法15条・労基則第5条関係)
(アおよびイ省略)
ウ 無期転換申込みに関する事項及び無期転換後の労働条件
①その契約期間内に無期転換申込権が発生する有期労働契約の締結の場合においては、使用者は、労働契約締結時の明示事項のほか、無期転換申込みに関する事項及び無期転換後の労働条件を明示しなければならないこととされた。
②「無期転換申込みに関する事項」とは、「無期転換申込権を有すること」をいう
③無期転換後の労働条件の明示は、労基則第5条第5項の規定に基づき明示すべき事項について、事項ごとにその内容を明示する方法のほか、同条第1項の規定に基づき明示すべき有期労働契約の労働条件からの変更の有無及び変更がある場合はその内容を明示する方法で行うことも差し支えない
④無期転換申込権の行使によって成立する無期労働契約の労働条件の明示は、無期転換申込権が生じる有期労働契約の更新時及び労働者による無期転換申込権の行使による無期労働契約成立時にそれぞれ行うこととなること
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今度は無期転換申し込みに関する事項ということになります。皆さんはパートさんで有期(労働契約)の方、契約社員さんがいる方はどれくらいいますか。60歳以降に有期の方って、大体いる会社が多いかと思います。
60歳以降65歳までは義務、70歳までが就業努力です。その人を雇う・雇わないという問題が出てきます。居てくれればそれは助かるでしょうが、一方で頑固になったり、体調があまりよくはないのに「来たい・働きたい」という方もいらっしゃったりします。一般的に60歳を過ぎ65歳を超えた場合は、1年更新や3ヶ月更新、半年更新が多いですね。
それ以外ではパートさん。例えばバイトさんやパートさんで例えば5年を超える場合、契約の手前で更新があります。その更新時には、「あなたは5年超えるから、うちの会社で無期転換の申し出ができますよ」ということを通知書に記載しなければいけません。今まで知らなかった人も、全部それで発覚することになるでしょう。5年超えることで、有期労働契約から期間の定めなしの無期転換、社員になれるということです。
では、60歳以上の方が5年を超えて無期転換したら。例えば60歳から有期で5年間勤めると、65歳過ぎた人が正社員になり無期転換になるのでしょうか。その場合は「届け出」が可能。労働局に事前に届け出をすることで、60歳以降の方のその年数を5年に含まないことが認められることになりました。なので、そういう心あたりのある経営者さんは事前に届け出を1回出しておいた方がよいかもしれません。
全体のうちのごくわずかですが、澤井氏はとても分かりやすく説明してくれます。また過去の経験が裏打ちしていますが、同氏が講師を務める会で真に面白いのは、聴講者間の「雑談」と「脱線」です。
「うちの場合は~」「当社でいうと~」「ちょっと先生に伺いたいのですが~」と、トピックに併せて仲間同士が自由に話します。より身近なモデルケースが出ることでより理解が深まるという、脱線こそが真骨頂。ただただ一方向で聞くだけでは、眠くてとても最後まで持ちません。
まさに今回も「解雇について」というトピックが非常に温度高く論じていました。公序良俗に反することは一切ありませんが、例えば単年など時限を切った有期労働契約の制度をこう理解すると解雇の解釈は…という視点の変化や、そもそも解雇とは、労働者側が有利なる解雇はどういう場合か等々。文字にすると〝強い〟ので自制しますけども、やはり解雇に関する雑談と脱線は熱を帯びました。ちなみに当日の動画アーカイブはありますので会員は後で振り返ることができますが、やはり面白かった・また参加しようと思わせてくれる大きな要因はその場のライブ感と熱気、余韻ですね。
Viepsはいつでも・どなたでもお試し参加いただけます。間もなく公式ホームページを大幅刷新し、年間スケジュールも明示しきていきます。今後機会がありましたら、ぜひ足をお運びください!