1月の勉強会報告

Viepsは1月16日、東京都中央区銀座の中小企業会館で勉強会を実施しました。今回、講師に㈱たすくの淺野祐典社長による「中小企業のためのM&Aセミナー」を実施、会員20人が参加しました。

はじめに淺野氏はM&Aについて「敵対的買収、乗っ取り、リストラ、マネーゲーム……といった、どちらかと言うと〝負〟のイメージが強いのでは。私が携わっているM&Aは、会社の存続や雇用の継続を主眼とする『M&Aという手法を使って事業承継をどう対応するか』というものです」と自己紹介。
自身の成約事例を説明する中で、淺野氏はラベル印刷会社のM&A案件に言及しました。
譲渡企業側(=A社)のメリットについては▽後継者問題の解決▽譲受企業(=B社)との材料の一括購入や設備利用によるコスト削減と高収益化▽経営基盤の安定▽B社顧客へラベル印刷の新規提案、と説明。一方、B社のメリットは▽ラベル印刷という新たなサービスと技術の獲得、短期間での同事業の拡大▽ラベル印刷の内製化による収益率向上▽A社顧客への新規提案、と要点をまとめました。
淺野氏は「ラベル印刷分野の強化を図りたいB社に対して、同分野の受注減と取引先業種の先細り、また将来的な後継者問題を抱えていたA社と、相互にとってシナジー効果のある事例でした」と評しました。

また「成功する会社の買い方」の項目では、ポイントとして▽戦略の明確化▽相互効果のあるM&A▽トップ自ら行う▽売り手社長と従業員への配慮の4点を提起。
淺野氏は「買った会社を購入時よりも安い金額で売却する例も少なくありません。何のためにM&Aを行い、その会社をどうするのかといった戦略を明確化する必要があるでしょう。また『買ってやる』というスタンスではなく『買わせていただく』『入っていただく』という気持ちが重要です」と解説します。
これについて「売られた側は、当然不安があるものです。例えば、元の社長が虐げられているという印象を与えてしまえば譲渡企業側の社員が動揺し、将来への不安やモチベーションの低下を招きかねません。そうなると、組織は十分に機能せず当初予測していたシナジー効果が得られなかったり、譲渡企業側の優秀な人材を失ったりするリスクもあります。グループに入ってこれから一緒に頑張っていただきたい、という姿勢や具体的な方針を示す必要があるでしょう」と説明しました。

このほかにも「会社の売却を成功させる秘けつ」「一般的な手順は」「簡易評価方法」といった項目の説明のほか、数々の事例を経験してきた淺野氏による「儲かっている会社と儲かっていない会社は?」に関する条件を提示。会員らは、淺野氏の言葉に一喜一憂しながらも、経営者としての気概や心がけを学んでいきました。
終わりに淺野氏は「実際相談にこられる方は、従業員や創業者対して沢山の『申し訳ない』の理由を抱えてお見えになります。M&Aという言葉に対してまだまだ抵抗感を抱いているのが現状ですが、あくまで事業承継の一つの有効な手段。堅苦しく考えず、M&Aを担当する人間に相談してみてください」と結びました。

なお今回、MSP㈱社長で全日本シール印刷協同組合連合会の会長を務める小宮山光男氏をはじめ、3社3名の聴講者がViepsの勉強会を初見学いただきました。聴講後には、会員と意見交換を行いました。

株式会社たすく
東京都北区西ヶ原1-55-15
☎03-5961-5550