5月の勉強会報告
Viepsは5月15日、東京都中央区銀座の中小企業会館で勉強会を開催しました。
今回のテーマは、3月に続いてViepsが今期の中心的な活動として掲げるBCP(Business Continuity Plan)。講師に新潟・柏崎市の創風システムを招いて、同社の駒野幸夫取締役と石口博係長が「BCPとデータ管理」と題して講演を行いました。
はじめに、宍戸チェアマンは次のようにあいさつしました。
「震災に見舞われたときのみならず、火災や盗難などデータ損失の可能性は日常的に存在する。たとえ刃型や版を喪失しても、データが残ってさえすれば、事業は継続可能な時代だ。また一昔前と違って、データの数も容量も様相が異なっている。BCPはもとより、企業の日常のデータ管理について学んで欲しい」
冒頭、自社の事業など会社紹介をした駒野氏は、今回の勉強会の趣旨を「自然災害や盗難などから重要なデータを消失させないための仕組みづくり」と説明。これに基づいて「クラウドサービスの特徴」「コストとのバランス」「利便性」「安全性」といった視点でサービスの比較検討を実施しました。
まず同氏は、クラウドサービスの利点について「クラウドサービスを利用すれば会社の機密事項を持ち歩く必要がないので、情報漏洩の可能性を抑制するリスク回避を実現しながら、プレゼン資料やラベルのデザインデータを安全に客先で披露することができます」と解説。次にクラウドサービスの種類について言及した駒野氏は、4種類に大別して、これを▽料金▽保存容量▽処理能力▽自動化▽安全性、これら5項目でサービスを次のように比較評価しました。
(1)「クラウド上に保管場所を提供するタイプ」
- 特徴……ドロップボックスやスカイドライブなど、ファイル共有を行うサービス。社内資料を安全に持ち出したりバックアップに利用したりできる。無料で始められる
- メリットとデメリット……手軽に始められて有料で容量も増やせるが、スピードが遅く容量が増加すると価格も高くなる。基本的にはコピーは手動
(2) 「サービスを利用するタイプ」
- 特徴……グーグルAppsなど、メールやスケジュールなどが使えるサービス。特にメールはPCに保存しないので、バックアップの必要がない上社外からも確認可能
- メリットとデメリット……メールやスケジュール管理が主体であり、目的とそぐわない
(3)「サーバーを共有するタイプ」
- 特徴……他社のサービスを利用するのではなく、自社でHP用のサーバーやメールサーバーを構築するためのサーバーを貸し出すサービス。Linuxベースのデータベースも利用可能
- メリットとデメリット……データの保管目的のみなら利用は可能。ただし、他社との共用であることや容量に難あり
(4)「専用サーバー(ホスティング)を利用するタイプ」
- 特徴……サーバーを他社と共有したくない場合や、パフォーマンスが求められるシステムを動作させるために利用するサービス。大手プロバイダーが用意したサーバーを占有して利用するタイプと、自社でサーバーを購入してデータセンター内に設置するサービスがある
- メリットとデメリット……比較的安く導入できる。問題は容量の増加に伴う価格の上昇。一方ホスティングは、数社が集まることで大容量のサーバーを設置することが可能。またフレッツVPN(Virtual Private Network)ワイドなどのサービスと接続すれば高速通信も。プロバイダー事業を行う創風システムならではのサービスプラン
次いで駒野氏は、創風システムのVPN(Virtual Private Network)サービスについて言及。特に、インターネットを介さずに拠点間を高速で接続し、同社データセンターにアクセスするデータ管理ソリューションについて、概念図とともに概要から契約者の具体的な運用フローまでつぶさに説明しました。
これに加えて、創風システムが全国のラベル印刷会社に向けて提供する、印刷仕様と製版データを一括管理した「版・刃型管理システム」や、担当者不在でも顧客からの問い合わせに対応できる「シール印刷見積支援システム」との運用の連動も提案しました。
終わりに駒野氏は「特に考慮すべき点は、製版データをどこに保存すべきか。クラウド上で保管できれば使い勝手も良く理想的ですが、現時点でかかるコスト負担は決して低くありません。一方、サーバーを複数社で借りて運用することも可能です。メリットやデメリットを知ってもらった上で、サイズや目的、サービスの度合い、コストに応じて構築可能なのでぜひご相談いただければ」とコメントしました。
質疑応答では多くの会員から手が上がり、BCPにかける関心の高さが伺えました。
株式会社創風システム
新潟県柏崎市田中20-22
☎0257-22-5777