12月の勉強会報告

Viepsは12月17日、東京都中央機銀座の中小企業会館で2012年最後となる勉強会を開催。当日は26人が参加しました。
今回講師を務めたのは、サカヱ彫巧社(大阪市城東区中浜、☎06-6968-2271)の舛重聖長社長です。

舛重社長は「drupa2012見聞録」と題して、昨年5月にドイツのデュッセルドルフで開催された世界的な印刷総合展を見学した模様を、自身の写真や動画、コメントと共にリポート。展示会の技術トレンドや市場動向を振り返りました。
このうち、ドイツの抜き型メーカーで点字の母材も製造しているマーバッハ社について説明した同氏は、欧州の点字事情を説明しました。
「欧州では、必ず医薬品のパッケージに点字が表記されています。日本の製薬会社でも、海外に輸出している一部の製品には、点字が施されています。欧州の点字の規格に比べると日本は高さが高いため、しっかり再現できるよう当社は彫刻型で提供しています」
このほか、冒頭には自社紹介を行い、動画を通じて箔版の製造工程を紹介しました。この中で舛重社長は、エッチング技術を応用したユニークな事業として、手作りの表札を製造する別サイト『表札職人』をPR。自社の技術と設備を異なる分野で応用するという、ユニークな発想を学びました。

続いて、神奈川・啓佑社の山下庫太社長が登場。

毎年、米国シカゴとベルギー・ブリュッセルを中心に海外で催されるシール・ラベル専門の見本市「ラベルエキスポシリーズ」を視察する同氏は、デジタル印刷機の動静について言及。
会場では、デジタル印刷機の抜き加工部にレーザーダイカッターを実装し、ワンパス化を果たした大型機が数多く揃っていたことを報告。「デジタル印刷の印刷速度に加工工程を追従させるため、レーザーヘッドを複数台載せることで解決を図るアプローチも見られた」と、各社が技術革新でしのぎを削るデジタル印刷分野はトレンドの最先端であることを示唆しながらも、一方では「コストメリットのあるモデルから高価なモデルまで、さまざまなデジタル印刷機が次々と登場していますが、インクの厚みがどれも解消されておらず“これなら良いな”と思えるものには、まだ出会えなかった」と持論を述べました。

終わりに三條機械製作所の秋山英一朗氏が、同社の超小型凸版間欠機「CS-200」を紹介。

製品名が示す通り、コンパクト(Compact)でシンプル(Simple)な構造が特徴の同機は、3色・1灯を標準とする必要最低限の機能を備え、段取り時間の短縮やハンドリングの良さによるロス低減、省スペースを実現。これが評価され、昨年2月の販売以降30台超を納品した注目の機械です。
秋山氏は「UV1灯によるウェット・オン・ウェット印刷でも高い印刷再現性を誇る」と説明。また同機は、UVユニットを増設したり、簡単に設置位置を変更したりできるということです。
「ご希望に応じて2色ユニットで組み上げることも。事後に『やっぱりもう1色』というときには、ユニットで追加できます」と柔軟性をPRしていました。

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勉強会終了後は銀座に繰り出してイタリアンダイニングで忘年会を執り行い、一年の労をねぎらい合う会員らは夜更けまで交友を深めました。