10月の勉強会報告
Vieps10月16日、勉強会を開催しました。
講師にコニカミノルタ㈱プロダクションプリントグループの堀田郁也氏を招いて、同社が技術協力する㈱ミヤコシのラベル用デジタル印刷機「MKD13A」を紹介しました。
同機はミヤコシが今秋発表した新モデルで、コニカミノルタは電子写真方式のプリンタエンジンを提供。これにミヤコシの搬送機とレーザーダイカッターを連動させた、ロール・ツー・ロール方式の新機種です。9月にベルギーで開催された「ラベルエキスポヨーロッパ2013」と、10月に東京ビッグサイトで催されたJGAS2013」でいち早く披露した同機は、来年秋の上市を予定しているそうです。
はじめに堀田氏は、開発の経緯や狙いを説きます。
「電子文書によるペーパーレス化、スマートフォンやタブレット端末などの普及に伴って、オフィスでは以前よりもコピーの需要が減ってきています。こうした状況下、われわれを含むコピー機メーカーとしては、パッケージやラベルといった紙を使用する分野は魅力的に映ります」
「海外と国内の2展示会への出展を通じて、デジタルプリンタの市場性の把握をはじめ、同機が皆さんに受け入れられるのか、どこを改善すべきかをヒアリングすることができました」
※写真は「ラベルエキスポヨーロッパ2013」会場のもの
次いで同氏はHP、ザイコン、EFI、キヤノンオセ、エプソンなど競合の製品動向を抑え、価格をタテ軸・生産性をヨコ軸とした分布図の中にそれぞれを配置。そこに生じた〝空白領域〟を示してみせ、MKD13Aがどこを狙ったものであるかを明確化しました。
これを踏まえて堀田氏は、電子写真方式(液体インク)、UVIJ、水性IJと同機を比較。表には▽ランニングコスト▽メンテナンス性▽画質▽生産性▽メディア対応力、といった項目が設けられ、セルの中に◎、○、△、×マークを入れ評価。各技術の強みや弱みを示すことを通じて、他機とは異なる同機のポジショニングをより明らかにしてみせました。
MKD13Aの基礎スペックや設計図を解説しながら、「価格、メンテナンス性などからバランスに優れた機械と言えます」と堀田氏。配布された印刷サンプルについて「キレイに刷ることができたベスト画像ではなく、展示会場で実際にデモ印刷を行ったものを持ってきた」と、通常時からこれくらいの品質が得られることを主張します。ほかにも、実際の運用状況を動画で披露しました。
同機に対する今後の技術面を含む課題については①広いドブの調整②ガイドへののりの付着③販路確保と位置づけています。
①について、配布したサンプルでは15mmの空白が生じていることを会員から指摘され、堀田氏は「3mm~5mmにしないと皆さまには納得いただけないだろう」と分析。②については、「コピー機のメンテナンスは、専門の技術スタッフを派遣して行うのが通例で、ユーザーが直接何か手を出すことはありません。ただし当機に関しては、毎日ご自身で付着したのりの除去をケアいただくことになる。そのため、いかに簡便に行える機構とし、導入企業の負担を減らせるか検証しています」と説明しました。
「日本は特殊な市場」と語る同氏は、私見ながらと前置きしてデジタル印刷機に見る市場の違いの一つをこう説明します。
「皆さんは手先が器用なので、アナログ機での小ロット印刷や、デジタル印刷後の別ラインでの抜き加工も、手早く上手にこなしてしまいます。これに対して海外では、面倒なことは金をかけてでも印刷から仕上げまで一気にやってしまおうという傾向が強い。印刷への品質要求も日本と海外では異なりますので、安く早く合理的に生産できるものが支持される傾向にあります」
質疑応答では「2度刷りはできるのか」「印刷はせずに搬送してレーザーカットだけできるのか」「レーザー照射の起点に微細な穴が開くのは避けられないのか」といった質問が寄せられました。
堀田氏はほかにも、「ラベルエキスポヨーロッパ」に出展した各社のデジタル印刷機の名称や機能を順に説明しながら開発傾向や技術トレンドなどを分析してみせるなど、会員は国内外のデジタル印刷機にまつわる動静を学ぶことができました。