1月の勉強会報告

Viepsは1月28日、2014年初となる勉強会を行いました。第一弾はいつもの銀座の会館を抜け、江東区越中島にある大日本スクリーン製造のショールーム「ホワイトカンバスMON-NAKA」を訪問。SCREENが提供する最新鋭の印刷機群を見学させていただきました。

昨年、SCREENのUV方式のインクジェット(IJ)デジタル印刷機「Truepress Jet」シリーズに、ラベル印刷用の新機種「同L350UV」が登場。「drupa2012」(5月・独)でプロトタイプ機を初披露して以来、「パックプリント2013」(5月・豪州)「JGAS2013」(10月・東京)などにも相次いで出展。市場の評価をフィードバックし改良を重ね、同10月に上市を果たしました。すでに商業印刷分野向けには、水性顔料インキを登載したロール・ツー・ロール方式の「Truepress Jet520」をOEM品含め500台以上の導入実績があるというSCREEN。確かな実績と基幹技術のもと、満を持して登場したラベル向け専用機を目の前で見学できるとあって会員らの期待も高まります。

はじめに会議室で、㈱メディアテクノロジージャパンのVP営業統轄部、佐々浦映展副部長にL350UVの説明をいただきました。
基本的な機械スペックの紹介のほかに、同氏は①世界最高レベルの生産性②UVインクによりメディアの適性が広い③盛り上がりとニオイの少ない高色域オリジナルUVインキ④なめらか階調表現⑤シンプルなメンテナンス⑥蛇行防止と高精度な基材搬送で後加工見当が良い、と総括し、L350UVの特徴を次のようにまとめました。

①600×600dpiの場合、基材幅350mmで最大50m/分を実現。準備期間の削減効果まで含めると間欠機3台分の生産性
②メディア適性・耐擦過性・表面加工性が要求されるほかPPやPETといったフィルム系にも印刷が行え、生産機としての生産性も求められる。メディア適性と生産性の両立からUVインク方式を採用
③敬遠されがちなUVインク特有の臭気と盛り上がり・テカリを抑えた独自インクを開発。ニオイも少なく凹凸も抑えられたので表面加工もスムーズ
④③のオリジナルインクは、Pantoneカラーの80%をカバー。なお今春、ホワイトインクの供給も開始予定としている
⑤最小ドロップサイズ3plという小さなドロップと網点技術によって、トーンジャンプのないなめらかなグラデーションを再現
⑥多重ローラーと超音波センサーで蛇行を防止。高度な搬送機構により、抜き加工時に支障が出ないような印刷見当を確保

佐々浦副部長はスライドを使用しながら、印刷市場の動向、開発の背景、SCREENのIJ技術とPOD市場における新機種L350UVのポジショニング、といった説明を行いました。終わりに「基材の最大幅350mm、同印字幅322mmの同機は、シール・ラベル以外だけでなく軟包装印刷などほかの仕事への展開も可能」と語りました。

レクチャーに続いては実機の見学。場所を移動してSCREENの最新鋭機とご対面です。

解説員の説明に真剣に耳を傾け、またパネルを開放して機体内部の構造を説明するシーンでは、誰もが興味深そうにL350UVのコア技術へ熱い視線を送ります。解説後には目の前で印刷の実演が行われ、ごく簡単なオペレーション後高速で次々と刷り上がっていく様子を目の当たりにした会員からはため息が漏れていました。
また隣にはABG社製の後加工機を設置。同機はあくまでイメージ機であることを前置しながら、今後は抜き、ラミネートといった後加工以外にコールド箔加工も行えるような同社独自のマシンを開発したいとの意向のようです。

続いては、ニールピーター(デンマーク)のフレキソ印刷機「FA-line」を見学。Neilpeter営業統括部の石坂智氏に説明いただきました。

印刷機の特徴や基礎的なスペックを紹介した同氏は、機上に取り付けられたさまざまなユニットを順に説明します。
コールド箔加工ユニットは「海外では機上に1つ以上設置して運用するケースもある」、箔押しユニットは「平圧式のホットスタンプは1分間に300ショットとフレキソ印刷機の高速性から見れば〝ボトルネック〟になる部分とは言え、別工程や外注に出すよりはワンパスで処理できる利点はあり、もう1ユニット実装して処理能力をアップするユーザーもいる」、点字印刷ユニットでは「付属のモニター上で点字にしたい文言を入力すれば、そのまま自動で点字化され印刷を行う」。

タッチパネルを通じた設定と操作だけで、8ユニットがすべてオート制御で位置合わせを実行して、すぐに印刷を開始。コールド箔加工後に追い刷りを施した美しい印刷サンプルを手に、誰もが嘆息を漏らしてしまいます。「社長どう1台」「これで訂正シール刷ってちゃ世話ないね」とお互い冗談を口にしながらも「もし会社にあれば何の事業ができるだろう」「どんな企業が一体これで何を印刷しているのだろうか」と、時代の利器を目の前にそれぞれ思いを馳せていました。

見学会終了後は、門前仲町で新年会を兼ねた懇親会を実施。美食と美酒を堪能しつつ、会員一同は2014年の活動への期待と胃袋を膨らませるのでした。