3月の勉強会報告

Viepsは3月17日、勉強会を実施しました。1月の勉強会に続いて銀座を飛び出し、舞台は港区虎ノ門!

今回のテーマは、デジタル印刷の中で近年特に新たな動きを見せはじめている、ラベル向けのプロダクションプリンタをはじめ、インクジェットプリンタ(IJP)や後加工機の最新動向について学ぼうというもの。関連企業4社が㈱Tooショールームに自社のプリンタや機器を設置して、プレゼンテーションや実機デモを行いました。

沖データ 「MICROLINE VINCI C941dn」
商品事業本部 宮本裕美氏

昨秋上市したLED-UV搭載のプロダクションプリンタ「MICROLINE VINCI(マイクロラインヴィンチ)」シリーズを紹介。この中から4色+クリアかホワイトの特色1色を加えた5色印刷で“フィルムに白が打てる”という注目の「同941dn」について説明しました。
宮本氏は同機の特長を次の4つの特長で説明します。
①特色クリア、ホワイトによる「新しい表現」
②デジタルLEDヘッドが細やかな印刷潜像を形成する「高い印刷品質」
③高耐久性と印刷速度に加え長寿命ドラムや大容量トナーが支える「高い生産性」
④高解像度のカラーパネルが紙詰まり処理の手順などをナビゲートする「ユーザビリティー」
C941dnの特長である特色印刷について同氏は「ホワイトトナーは色紙や透明フィルムなど軟包装のダミーパッケージづくりに、またクリアはパッケージのグロス感を与える加工として効果を発揮します」とPR。

特色印刷はCMYK後の処理となりますが、ホワイトを下に引きたいときには、まず白だけを印刷してスイッチバックし、続いて4色印刷を施して最後にもう一度白、ということもできるようです(若干の印刷ズレが生じる可能性あり)。
また宮本氏は、宍戸チェアマンからの依頼に応じる形で、ミラーコートやPET、合成紙といったアプリケーション別の粘着紙メーカー各社の基材適性を○×で評価した一覧表を公開。同機の適応力を詳らかにしました。

グラフテック 「FC4500 series」
東日本情報機器営業部 高橋安季氏

静電吸着機能を有し最大で毎秒750mmの高速カットが行えるカッティングプロッタ「FC4500」シリーズと、カット圧9.8Nとハイパワーを誇るハイエンドモデル「同2250」シリーズを紹介。はじめに高橋氏は、メーカーの視点から見たラベル市場を次のようにまとめます。
『小ロット市場におけるラベル印刷会社の課題』
・量の少ない仕事に応える必要性がある一方で、それらはコストに見合わない傾向が強い
・量が少ないほど短納期で小回りの利く対応を求められる
・1個あたりのコストが高くなるが売価は上げにくい
『少量抜き加工の問題点』
・手作業で処理する場合、枚数が増えると負担が大きい
・既存の刃型を生かせてもデザインや訴求力に制限がある
・刃型の場合は、リピートの来ない仕事では利益が出にくい
同氏は「少量加工の場合はコストか時間のどちらかを犠牲にしていることが多いのでは」と指摘します。

同社のカッティングプロッタは、トンボを自動で読み取って抜き処理を施す「ARMS」機能を搭載して高精度な輪郭カットを実現。また「4点トンボ補正機能」により、X・Y軸の歪みも補正してカットを行います。FC4500には「トンボセンサ感度自動調整」機能が設けられ、白地に青、黒地に白のトンボも読み取るようです。
高橋氏は「小ロット多品種化の市場性に合致し、短納期対応で生産性を高めサンプル製作で新規ビジネスチャンスの拡大を支援します」と、同社カッティングプロッタの利点を訴えました。

コニカミノルタビジネスソリューションズ㈱ 「bizhub pressC71CF」
PPG事業統括部 服部晃宏氏

Viepsが昨年10月に行った勉強会で紹介済みのラベル印刷機「bizhub pressC71CF」の経過報告が行われました。
同機は、コニカミノルタ製プロダクションプリンタの前後に、㈱ミヤコシの巻き出し巻き取り機やレーザーダイカッターと同期させたデジタルプリンティングシステム(ミヤコシの製品名は「MKD13A-1000」)。昨年10月の「JGAS2013」で初披露後、今年2月の「page2014」にも出展して、印刷から抜き加工まで一貫して行う刃型も特別な加工技術も不要な同機に、業界外からも熱い視線が注がれています。
服部氏は想定する同機の活用領域として、食品関連ではローカルワインや地酒をはじめジャム、ハム、チーズなどの加工品。ほかにイベント関連グッズ、土産品など、プリントボリュームは日産1,200m以下と位置づけています。

また同氏は、コニカミノルタが今年2月に正式発売した、一般印刷用の枚葉デジタル印刷システム「bizhub pressC1070」に使用しているプリント機構を、MKD13A-1000に採用する意向を明らかにしました。少しずつアップデートを重ね、今秋の発売開始を目指していくと発表しました。

キヤノンマーケティングジャパン㈱ 「LX-D5500」
エリア事業推進本部 吉田貴之氏

コンパクトなIJラベルプリンタ「LX-D5500」をPR。吉田氏は染料インク搭載の従来機に加え、顔料インク対応モデルの新製品「同P5500」を紹介しました。
「前モデルにあたるLX-760は100万円超でしたが、今回説明する両機は解像度が1,200dpiと2倍に、また本体価格は約2分の1」と解説。ラインヘッド方式で、印字スピードは1秒20cmと早いのが特長です。「顔料インクは耐候性に優れ、長期保管するものに。また染料インクは発色がよいので比較的短い期間用いられる食品ラベルなどに適しています」と説明します。

また同氏は、各産業分野で実際に運用されているユーザーの事例を披露。
流通分野では、ピッキングミスや梱包ミスを防ぐためのカラーラベル化用途に。配送先ごとにラベルの色を変えることで出荷ミスをなくしたほか、商品アイテムの非常に多い職種では、箱の中に入ると中身が何かしることがないので、ラベルに特徴や外観を入れたり、色分けにして識別可能にしたりして役立っているようです。
誤用が重大な影響を招く化学薬品分野でも、ラベルのカラー化による識別性確保の目的で相当数のユーザーを確保していると言います。小ロットの試験薬から一斗缶に貼るGHSラベルまで、有効利用されているようです。
さらに青果関連では、生産者の顔とQRコードが入ったラベルにも多用され、卸売市場内の仲卸業者のほか包装資材会社が購入して、袋などと共に納入するビジネスモデルを紹介しました。

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プレゼン後はフロア内で自由に見学会を実施。印刷やカッティングの実演を目の前で見て、サンプルを手に各社説明員の話に耳を傾けていました。

市場をけん引する競合他社が一堂に介して、実機も披露いただきプレゼンと実演を通じて最新動向を一挙習得することができるのは、まさにViepsならでは。ちなみに勉強会は初の試みとして、欠席した会員や地方の会員企業を動画でフォローすべく、勉強会の模様をVTR撮影しました。気になる当日の模様は、会員になると視聴できますよ!
今回、趣旨に賛同いただき講演くださった4社と、会場を提供いただいたToo様へ、改めて心から御礼を申し上げます。