9月の勉強会報告

任意団体Viepsは9月11日、中央区銀座の東京都中小企業会館で勉強会を開催しました。
今回講師を務めるのは、㈱丸紀印刷(大阪市東住吉区湯里、☎06・6705・2880)の金光雅志社長です。金光社長は優れた印刷技術、それを支える論理的思考、そして“目指せ超2流”を標榜する独自の経営眼を持つ若手経営者です。

フェイスブックでは、ラベル印刷に関わるコミュニティー「金光塾」を立ち上げ、各種技術論の発信をはじめ自らは塾長として知見やトラブルシューティングの共有、地域・世代を超えた広域ネットワークの構築を牽引する金光社長ですが、今回の内容はこれとは別。システムインテグレーターの㈱創風システム(新潟県柏崎市田中、☎0257・22・5777)とこのほど共同開発したという業務支援システム「KJS」について講演しました。

KJSはラベル印刷会社の運用に特化したモデル。受注・売上・請求・入金処理が行えるほか、版、刃型、用紙、印刷の進行状況が受注一覧で把握できるほか、商品アイテムごとに販売履歴や価格情報が分かる作りとするなど、業界特有のパラメーター設定や品目に関する入力項目などが設けられています。そこは正に“ラベル印刷会社が作ったシステム”という特徴が光ります。

そして市場の既存モデルとの差異と言えば、何と言っても安価である点。必要最低限の機能に絞ったり、メンテナンスをごく簡易化したり、また機能の拡張オプションもなしとすることによって、月額9,800円(税別・1ライセンス)という低価格設定を実現しています。
金光社長はKJSの機能を包括的に概説した後、実際の操作画面をプロジェクターに投写。オペレーションを通じて、操作具合や有効性を伝えました。
金光社長は、開発の経緯を次のように説明します。
「国内のラベル印刷会社はの多くが、家族経営などの小規模形態。社内では、帳面にシールサンプルを貼り、材料は何を使った、インキはこんな配合とメモを記したり、納品書や請求書も手書きだったりという管理がほとんどです。手作業は煩雑で時間が取られ、その上ミスも生じやすいもの。何より過去の履歴を検索するのが大変です」

「とはいえ、いくらシステムを運用する効果や有効性は分かっても、使用料が月額数万円となればとても手が出せません。そこで、シール印刷会社に特化したシンプルなシステム構成にすることを考案。個別カスタマイズはなく〈1種類のみ〉、サポートは〈メールかSNSに限定〉など機能をぐっと絞り、創風システムさんと低価格な業務支援システムを作りあげました」
作業履歴をきちんとデータ管理すれば、効率化が図れる上、ロスやミスを減らせる。機械の力を有効に利用することで、品質の安定化を目指してもらえればと金光社長は力説しました。

なお当日は4年に一度開催される印刷専門展「IGAS2015」の初日とあり、展示会の視察で東京に来た四国や九州のラベル印刷会社がゲスト聴講。また同展に出展中のVieps会員が自社の見所をスピーチするなど、賑わいを見せていました。

※写真は、Vieps翌日の東京ビッグサイト。金光社長は約2時間に渡って印刷機を動かしながらの講師を務めるなど、前日の経営者視点とは打って変わって塾長としてオペレーター視点のお仕事もしっかりこなしていました。