1月の勉強会リポート
任意団体Vieps(宍戸伊助チェアマン)は1月26日、中央区銀座の中小企業会館で今年初の勉強会を開催し、26人が出席しました。
まずはその前に。
昨年12月10日には、忘年会を実施しました。楽しいお酒と料理の前には、いつもより短めのミニ勉強会を開催。「ラベルとパッケージの市場動向」と題して、ラベル新聞社の鈴木由紀子ゼネラルマネジャーが日本と世界のトレンド、技術動向、市場ニーズとビジネス事例などをグラフや数字を交えてレクチャーしました。
その後場所を移動。昨年に引き続き東銀座のイタリアンダイニング「スワンカフェ」で、一足早い忘年会とクリスマスパーティーを盛大に繰り広げました。
さて本題に戻ります。 今回は「『合成紙』に関する新製品情報と新技術発表」と題して、2社が講演を担当。はじめに新製品情報から、㈱ユポ・コーポレーションが講演しました。
「近年は海外の合成紙メーカーも増えはじめ、市場に出回り出しています。これに伴い、あらためて『ユポの特徴は?』と問われる機会が増えています」と説くのは、営業第一グループの猪俣洋課長代理。「合成紙ユポについて」と題して、3層二軸延伸フィルム成形法に基づく構造や製造工程を図解で説明しました。
「海外メーカーは3層が重なった状態で引き延ばしていくいわゆる強押出式が中心。一方、当社は3層バラバラに押し出すため、それぞれ異なる樹脂にしたり要求される性能を持たせたりすことができるのです」
また“目方向”と“逆目”のコシの差などを示して推奨する面付けを理屈で図解するなどして、ユポに関する基礎知識をていねいに解説しました。
続いてカスタマーサポート室の大島暁光氏がマイクを取り、海外製品との差異性について言及。「大きく違うのは独自の表面処理です」と説明した同氏は、帯電防止性やインキの密着性、耐水性といった機能的優位性を、他社基材と比較して数値で示してみせました。
そして新製品として、基材単体で印刷方式を問わず使用可能な「YPI」を紹介します。元来HP Indigoの液体トナー対応基材として開発されたという同製品は▽印刷後に水が付いた状態でこすっても落ちにくい耐水密着▽プライマー塗工不要▽マット調の外観と良好な画像品質再現、といった特徴。大島氏はこれをIndigo以外のレタープレス、フレキソ、インクジェットでも対応するとして、フォトブックやフードメニュー、チケットなどの利用方法を提案しました。
続いて、ユポを使用した新技術や新サービスについて、Vieps会員で丸昌化学工業㈱の山崎信之輔東京営業所長が講演しました。
「のりなしロール原反の活用について」と題したプレゼンテーションで山崎氏は、ユポ基材を使用しての「静電吸着ステッカー」「変形はがき」「ブックマーカー」を紹介。それぞれの製品サンプルと共に、使用した素材と機械、商品の機能に加え、実際の製造工程をすべて動画で振り返り解説を交えて説明しました。
さらにユポ基材と同社の「両面タック」を使用することにより、塗工機不要で平圧機や間欠機で多層式の開封防止テープを自社製造する印刷加工技術を公開。同氏は図解を用いつつ、身振り手振りで構造の詳細をレクチャー。粘着剤の塗工機などなくても、ユポと丸昌化学の基材を組み合わせることで、既設の印刷機で層間剥離を起こすデザイン自在の機能性テープが作られていく印刷加工工程を、ていねいに説明しました。
市場の仕事が減る中で、企業はいかに利益を得ていくか。「仕事を増やす」ために必要なのは、設備なのか基材なのか、技術なのか発想なのか。シール印刷会社のやれることは、粘着紙を通すだけなのか――。山崎所長の画期的な製造技術論には、重要な示唆が含まれていました。