9月の勉強会報告

任意団体ヴィープス(宍戸伊助チェアマン)は9月17日、東京都中央区銀座の中小企業会館で勉強会を開催。会員15人が参加しました。

中小企業診断士でひめの企画代表の姫野裕基氏による連載マーケティング講座。3回目となる今回は「ネーミング」です。〝効果的なネーミング、やっちゃいけないネーミング〟~大切な商品、思いつきやヒラメキのネーミングで大丈夫?~と銘打ち、会員らが自社製品やサービス、ソリューションへ名前を付ける際の助けとなる造語法や発想法を、オリエンテーションを交えた初の実践形式でレクチャーしました。

冒頭、姫野代表は「よく○○君などと安易に擬人化しがちなネーミングですが、思いつきやひらめきではなく、きちんとした発想プロセスやセオリーが存在します」と今回のテーマ趣旨を提示。いつか自社独自の製品やサービスが生まれたとき、それが効果的な形で世に受け入れられていくためにも、場当たり的ではないセオリーやロジックに基づいてネーミングできるように必要な知識を習得し、発想から決定に至るまでの手順や手段を正しく知りましょうというものです。

姫野代表はまた「ネーミングには『機能』があります」と提起。具体的には①他商品との識別②内容やコンセプトの伝達③イメージ訴求③アイデンティティー構築、など。すなわちそれは▽他社製品との識別機能▽品質保証機能▽広告宣伝機能、といった「ブランディングの機能」とも深くかかわっていることを示唆。単なる名前にしても、情報の受け手に与えるさまざまな効用や効果を説明しました。

とはいえ、一番わかりやすいのは「実例」から理解することでしょう。続いて姫野代表は、耳馴染みのあるたくさんの商品名や企業名を列挙しました。

・組合せ方式(A+B=AB)……そのままの形で組合せる

→「コパトーン」=copper(銅)+tone(色合い)
→「バンドエイド」=band(帯)+aid(手助けする)

・接合方式(A+B=C)……共通文字で接合する

→「biglobe」=big(大きな)+globe(地球)
→「ヴェポラッブ」=apor(蒸気)+rub(マッサージ)

といったイメージで接頭語・接尾語・頭文字といった各方式以外にも、視点を変えたネーミング発想法として

・回文……左右対称の視覚的な安定感

→WOWOW
→ESSE

・アナグラム……文字の並び替えによる意外性

→コクヨのヨコク
→サントリー(鳥居さん)、ブリジストン(石橋)

などを説明。「へぇ」「あれも」「確かに」と、普段から見聞きする商品の成り立ちを知ることで造語法を体系的に習得しました。

その後3グループに分かれ、実際にネーミング作業を体験しました。

ちょうど班ごとにインキメーカー、粘着紙ディーラー、独自素材を持つラベル印刷会社が配置されたため、彼らの製品に名前を付けることを想定してアイデア出しを開始。模造紙と付せんを用いながら、習ったばかりの発想プロセスに即して「キーワード抽出」「他言語への置き換え」「シンボル系ワードの拾い出し」「ネーミング作業」を行いました。多少難航するかと思いきや、習ったやり方に準じながらペタペタとネーミングの素案が記された付せんが貼られていきます。 

40分の会議を経て、各班が結果を報告。

このうち香りのインキは、香り+インキで「香リンク」。ユーザーとつながる・リンクするという思いも込めました、と発表者。ついでにボツ案として、香るねんとか匂いまんねんとか、大阪の企業ということを全面に出したどこか斬新な案も披露されるなど、楽しみながらアイデアを出す・取捨する・決定する、という一連のプロセスを体験しました。