1月の勉強会報告

任意団体ヴィープス(宍戸伊助チェアマン)は1月27日、東京都中央区銀座の中小企業会館で月例勉強会を開催。会員ら16人が参加しました。

宍戸チェアマンは2020年最初の勉強会に先立ち、昨年年間を通じて講師を担当した姫野氏を交えて、20年はどういった講演内容を立案しようかと運営委員会で協議しましたと説明。姫野講師の人脈を活用しつつ「年間スケジュールを策定しましたが、とりわけ関心が高かったのが、昨今〝17色の輪〟のピンバッチを目にする機会が増えた『SDGs』でした」とし、今回の演題「印刷業の持続的発展とSDGs活用法」を述べると共に、小野瀬経営コンサルタント所長の小野瀬由一氏を紹介しました。

自己紹介に次いで小野瀬氏は、中小企業診断士としての経営コンサルタント業務のほかに、自身のライフワークとしている活動を説明。環境省の地球環境基金の助成を受け、熱帯雨林の再生・保全に役立つ農法の一つとされる「アグロフォレストリー」を推進し持続可能な地球環境保全に貢献する、NPO法人VERSTAの活動を紹介しました。

小野瀬氏は「ブラジルの大西洋沿岸林でアグロフォレストリー普及活動を支援し、CO2の吸収源である原生林の再生・保全を図ることにより持続可能な地球環境保全を目指しています」と説明。事業内容としてアグロフォレストリーに基づく栽培法の確立支援と、ジュサラヤシの圃場拡大、果実の製品化支援以外にもチャリティライブ、音楽配信、エコツーリズム事業といった収益創出を推進しているということです。

こうしたVERSTAの活動とSDGsとの関連性について言及。SDGsの4『質の高い教育をみんなに』に対して、同氏は「ジュサラ椰子の違法伐採に父親と同行している中学生を対象に環境学習会を提供したところ、受講した中学生は自然環境保護の重要性を考え始めた中学生は『父親と一緒に違法伐採に行きたくない』と言い始めました」と説きました。同8『働きがいも経済成長も』、同13『気候変動に具体的な対策を』、同15『緑の豊かさを守ろう』、同17『パートナーシップで目標を達成しよう』の達成に資するVERSTAの事業内容や活動理念を訴えました。

他産業でのSDGs達成の実例を踏まえた上て、小野瀬氏は印刷産業でのSDGsを考察。中でも「クロスSWOT分析による競争戦略の検討例」では、次のように例示しました(抜粋)。

T(脅威)×S(強み)…「差別化戦略」

  • SDGs対応力の強化
  • 国連提唱グローバルコンパクトへの対応
  • Japan Colorによる差別化

T×W(弱み)…「リスク回避戦略」

  • 環境優良工場への挑戦
  • 廃棄プラスチック等容器リサイクル法への対応
  • 女性従業員の働きやすい職場環境づくり

小野瀬氏は「グローバルを今さら声高に言わずとも、PCやスマートフォンの画面の向こう側にグローバルが浸食してきています。グルーバル視点を抜きに持続的発展は語れませんが、その途上においては、日本式を廃することがすべてではなく、日本しかできないことを徹底して掘り下げることも有効」と強調。それを踏まえた上で「ビジネスパートナーのビジネスモデル転換に対応していくことが、どんな産業でも等しく求められます。新市場対応戦略として、SDGsの理念は今後最重要なファクターとなるでしょう」と結びました。