3月の勉強会報告

任意団体ヴィープスは3月15日、Zoomを使用して勉強会を開催。大分県別府市の㈲エイコー印刷(安部幸徳社長)の安部秀徳専務が講師を務め、「抗ウイルス・抗菌シール製品群HINODERIX立ち上げから現在に至るまで」をテーマに講演。会員外の参加者を含む22人が聴講しました。

エイコー印刷は、貼るだけで抗ウイルス・抗菌環境を提供できる粘着製品群として、リケンテクノス㈱の機能性フィルムを利活用したHINODERIXを昨夏自社開発。「印刷、形状加工によるフルカスタマイズOEMが主製品」と解説した安部専務は、自身で書いた1本の会社ブログ記事に端を発する製品誕生の経緯から、素材との出会い、ブランド立ち上げにおけるチームビルディング・ブランドコンセプト策定・ポジショニング設定、さらに営業戦略にHINODERIXの構造まで詳らかにしました。

地元の地銀や空港、自治体とBtoBで順調に実績を積み始めた中、安部専務は「BtoCにも挑戦してみたい」と、クラウドファンディングに臨んだ軌跡についても言及。

実際に出品すれば製品ページがアーカイブとして保存され「インターネット検索のヒット率も高い」と説明する同氏。当該ページに製品の詳細を載せておけば、後にHINODERIXをネットで検索した人にとっての紹介ページの代役を果たしてくれます。クラウドファンディングでも支持され実績を上げている商材なのだと理解が進む効果を狙い「履歴が残り続けるので何としても成功させたかった。『SIAAマーク』を取得する抗ウイルス・抗菌機能を有したトップブランドを目指す上で〝ニーズが全然なかった〟というこん跡を残す訳にはいきませんでした」(同)と心境を吐露しました。

しかしながら、期待値を大きく下回ったと自ら分析。原因について「当初想定していた年代層と実際購入していた層が異なっていた」「抗ウイルス環境を自身のスマホに構築するより、知らないブランドのシールを貼ることへの抵抗が上回った」「抗ウイルスに関心の高い高齢層は、そもそもクラウドファンディングを見ておらず、一番の商売相手がいなかった」などと検証しました。

「自社でいくら著名なブランドの製造を請け負っていても『これウチが印刷しました』と公に訴えることはできません。SIAA認定に関しては、同マークを表記する際に製造元の社名やロゴを併記するという規定があります。つまりたとえ世界的なブランドでも、SIAAマークと共に〝HINODERIX〟の名が必ず付いて回ります。自社のブランド名が世に出て行き、それが社会の役に立てば従業員のモチベーション向上につながります」

「刷って貼って抜いてという日頃従事するラベル印刷というものづくりが社会的にどんな価値があるのか、もう一度咀嚼し直す機会となりました」

「もし仮に、取引銀行にHINODERIXを提案してみたいとお感じになれば、当社がきちんと1件1件対応しますので間を取り持っていただければと考えています。当社は全国の同業者各位に本当にお世話になっていますので、日頃の恩返しと言えば大仰ですが。コロナ禍の苦しい経営環境下、マージンを取って利益を出していただくことも大切だと思っております」

立ち上げからの気づきや学びについて安部専務は90分間講演。「初めて自社製品を作る試みに今だ壁にぶつかり続けているが、今後各位がブランドや自社製品を立ち上げる際に私の体験が少しでもお役に立てば」と結び、大きな拍手が送られました。

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なお勉強会の冒頭、総会を経て新チェアマンに就任した木原氏は、総会の終了報告と役員改選によってチェアマンへ就任したことを告げました。木原氏は「入会以来ほぼ毎回勉強会に参加し、多くのことを学ばせていただいてきました。現在当社があるのもヴィープスのお陰だと思っています。今までの恩に少しでも応えられるよう、微力ながら重責を果たしていきたいと考えています」と決意を語りました。