5月の勉強会報告

任意団体Viepsは5月16日、オンライン会議ツール「Zoom」を使用して5月度の勉強会を開催し13人が参加しました。

今月のテーマは、人材の採用と育成に関する講義。「採用市況における入社後活躍」の演題で、エン・ジャパンの藤本大誉氏が講演しました。

演題でもある「入社後活躍」の言葉は、同社固有のものであると説明する藤本氏は「採用するだけでなくその後の活躍が重要」であるという考えから生まれたものですと補足。

求職者が入社後に活躍してくれることで企業の業績向上につながり、事業を拡大してさらに次の人員を増員する――。同氏は「こうした人員の増員が本来の企業のあるべき形だとの考えから、エンジャパンは『入社後活躍』に重きを置き、同時に人材の定着にもこだわっているのです」と信条を語りました。

次に、足元の採用市況やコロナ禍の求職者に関して思考の変化が見られるといった、求人市場の調査報告を説明しました。

人を採用しようと思った際に、有効求人倍率だけを見ると、一見今までよりもぐんと下がっていると印象を持つかも知れませんが「コロナ前より求人案件は相当多くなっています」と藤本氏は概況を説きます。「有効求人倍率は、ハローワークの求職者数と求人数から算出します。しかしハローワークよりも民間のサイトの掲載案件数の方が圧倒的に多いので、今求人倍率が下がっていて好機だと思っても、現実の採用市況はかなり厳しい状況です」と解説しました。

今後も人材採用が厳しくなっていく中で、どう人を確保していくか。さらにどうやってその方たちを定着させていくか。「これらが目下の大きな課題になってきています」と述べた同氏は、ではそんな求職者は何を見て判断しているか、仕事に対して何を重視しているのかを知る必要がありますと問いかけます。エンジャパンが求職者に対して実施したアンケート調査に基づく報告をグラフや数字を追いながら行いました。

「求職活動中に最も参考になった情報源は何ですか、という問いに対して、基本的にやはり転職サイトです。求人内容を見て、どういう会社でどんな仕事をしてるのかを見る訳ですが、コロナの影響からか企業の安定性に凄く意識が高まっていることが明らかになっています。今後この先この企業ってどれぐらい伸びるとか、自分が定年退職するまでにちゃんとお仕事があり続けるのだろうか。こうした不安要素も大きくなっているため、転職サイトから読み取りたい転職者さんも増えてきています」

「そういう訳で、転職サイトの情報だけではなくて会社への口コミサイトや企業のホームページもとても見られています。特に口コミサイトは9割が見ているという報告があります。言い換えれば、情報の発信源としたかなり大きな要素を持つ口コミの情報整理や自社のホームページを整えることによって、転職者に情報発信をすることが可能になります」

さらに転職者のアンケートの中で「調べたくても調べきれなかった情報は何ですか」という問いに対して、最も多かったのが「職場の雰囲気や社風」という回答でしたと同氏。

「5年前は9割が『収入』という項目を選び、これに『勤務時間と残業の有無』を合わせた2項目がアンケートの1位2位と条件面ベースで採用を考えるのが多かった。コロナの影響もあって、今は社風。さらにその次は、どういう評価をされるんだろう、自身の働きがいの評価はちゃんと適正なのかといった会社の内部の情報すごく知りたい状態になってきています。5年前に『評価制度』などランク外でした」

そういう背景から、こうしたいわゆる社風や評価制度といったブラックボックスがあると応募に踏み込みにくい。裏返すと、会社の雰囲気や〝あなたの仕事をしっかり評価します〟ということを打ち出せば転職者は興味を引く。そのための必要な準備は、こうして集った求職者を離職させないための重要条件は――等々、藤本氏は約60分、Vieps会員に入社後活躍のための鍵と、その入社前に必要な準備について包括的にレクチャーしてくれました。