1月の勉強会報告

任意団体Vieps(木原一裕チェアマン)は1月23日、文京区小石川の文京区会議室で1月度の月例勉強会を開催しました。

2023年最初の講師を務めるのは、社会保険労務士の澤井清治氏による「改正育児介護休業法・改正雇用保険法、その他労務問題について」。Viepsには過去に何度も講師としてご登壇いただいており、メンバーと呼んでも支障ありません。今回は、改正のあった育休と雇用保険に関するトピックをくわしく説明いただきました。

今日のテーマは育児休業系のお話し。皆さん経営者が多いので見聞きしていることとは思いますが、ではそもそもなぜこの手の改正が非常に多いのでしょうか――と澤井氏は問いかけます。

主因を「出生率の低下」と指摘して、直近の22年合計特殊出生率が1.27と1.3を切ったことを告げました。

「生まれてくる人口と、年間の死亡者数との差は大体70万人。毎年70万人が居なくなっているということになります。これが10年続くと700万人、20年では1400万人と、東京の人口以上が居なくなります。こうした衝撃の事態に陥ったため、異次元のナントカという話に今なっているという文脈のもと、一部なし崩し的に育児休業がどんどん改正され出生率低下の歯止めをかけようという状況です」と解説します。

育児休業関連の改正は2022年4月1日と同10月1日に分けて施行されました。

まず4月の改正について、澤井氏は大きな変更点として「妊娠・出産(本人又は配偶者)の申出をした労働者に対して事業主から個別の制度周知及び休業の取得意向の確認のための措置を講ずることを事業主に義務づける」という点を指摘します。〝個別の周知〟として「労働者側は旦那でも妻でも、妊娠・出産の予定をあらかじめ会社に伝えておく必要があります。その上で、雇用者側は『こういう育児休業制度があって、あなたも取得できますよ』と個別に説明しなくてはいけません」とし、特に育児休業、新設された「産後パパ育休」に関する制度について説明を付しました。

次いで10月分改定分からは①出生時育児休業制度の創設(現行のパパ休暇は廃止)②子1歳までの原則の育児休業につて、2回に分割取得することが可能となる③延長の際の育児休業について途中交代が可能となった――、といった3点を挙げます。

このうち①については、次のように定められています。

・子の出生日から8週間を経過した日の翌日(子の出生後8週間)までの間(=母親の産後休業期間中)に4週間(2回の分割可能)まで、原則の育児休業とは別に、出生時育児休業(「産後パパ育休」)を取得することができます。(養子の場合は、男女ともに取得可能)

・産後パパ育休の創設に伴い雇用保険法の改正も行われ、出生時育児休業給付金が創設され、要件を満たした労働者には育児休業給付金が支給されます。

・さらに、産後パパ育休として同月内で14日以上休業した場合は休業月の社会保険料の免除を受けることができます。

・なお、産後パパ育休では、労使協定の締結により、一定の範囲内での就業も可能となります。(従来のパパ休暇は令和4年9月末日で廃止)

対象期間は「子の出生日から8週間を経過した日の翌日(出生日後8週間)まで」、取得可能日数に関しては「4週間まで」、なお「2回に分割して取得することも可能」と同氏。

分割取得については「子が生まれたタイミングで2週間、母子が里帰りから戻ってくるタイミングで再度2週間といったように、家庭の状況に合わせた対応が可能」、さらに「子1歳までの原則の育児休業」に関しては「2回までの分割が別途可能。1歳から1歳6か月および1歳6か月から2歳までの延長部分については分割することはできませんが、夫婦間で交代することは可能です」などと補足事項を含めて詳説しました。

――などなど、これはごく一部。とてもリポートしきれない分量の内容を、明快かつとても聞きやすく分かりやすい解説を受け、理解が深まりました。会員からは年一など定期的に時の制度改定を解説してもらいたいと高く評価していました。

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なお、昨年から対面とオンラインのハイブリッド開催を実施しているViepsでは、毎回の講演を動画で保存中。当日出席できなかった会員に対して〝補講〟として動画視聴のサービスも開始を予定しています。特に、今回のような難解だけども重要な内容は動画と親和性が高く、きちんと学びたいものです。興味をお持ちになりましたら、ぜひVieps事務局までお気軽にお問い合わせください!