5月の勉強会報告

任意団体Vieps(木原一裕チェアマン)は5月15日、文京区春日の文京シビックセンター会議室で月例勉強会を開催しました。

今回の講師にお招きしたのは、マネジメントコンサルティング企業の株式会社識学。「『識学とは?』継続的な成長"を実現するためのマネジメント理論の解説!」をテーマに、識学シニアコンサルタントの奥田拓之様が講演しました。

「皆さん、そもそも識学という存在をご存じですか」と奥田氏。今回講師としてお招きした会員企業はもちろん知っていますが、経営セミナーに参加し組織マネジメント論を知悉する一部経営者を除くと「聞いたことくらいは…」というレベルかもしれません。

「識学」とは意識構造学の略語を起点とする造語で、組織の継続的な成長を実現するためのマネジメント理論。識学を学び実践することで、組織に発生するさまざまなムダが排除され、組織成長にとって本当に必要な部分のみにリソースを集中させることができます、というもの。

はじめに奥田氏は、次のように識学と株式会社識学について紹介しました。

  • 2015年に創業
  • 主な事業は経営組織のコンサルティングや書籍の出版。ベストセラーは「リーダーの仮面」、ほかに「数値化の鬼」「とにかく仕組み化」の3部作で累計100万部を超える
  • 識学のメソッドを現在で3500社を超える企業に導入されている
  • 創業者らは識学という素晴らしいメソッドを日本の公のものにしたいという理想のもと、設立時から上場を目指していた
  • 上場について当時の市場でのルールでは3年の遡及監査機関と半年間の準備期間があり、最短で3年6ヶ月が理論上の最速。そこを3年11ヶ月というほぼほぼ最速で上場を果たした

「意識構造学を下敷きとして20年以上前に提唱されている組織運営理論であり、きちんとした上場企業です」と、初めて識学に触れる会員に対して笑顔で説明しました。

加えて、識学が上場を果たした年には「実際に未上場の会社に対して、識学のメソッドと資金を投入して上場させることができるのか、という取り組みを開始しました」と同氏。2019年9月にファンドを設立、1年後の2020年には2社が上場を果たしたと成果を告げました。

「そもそも2社とも優良企業だったのでは、識学メソッドのお陰といえるのか、といったご意見もいただきました」と奥田氏は続け、これを受けて20年3月にはプロバスケットボールの「B2リーグ」の企業を識学が買収。組織経営のみならずチームとしても立て直しを図っていく取り組みを実践しているのだそうです。

新型コロナウイルス感染症の影響でBリーグの試合自体がなくなりはしたものの、2021~2022年のシーズンでB1リーグを懸けて戦い「プレーオフまで進出し、あと一歩のところまで勝ち進みました。残念ながらB1には行けなかったのですが、営業収益や売り上げは大幅に数字が改善していて、来季こそB1昇格を目指すというふうに取り組んでいます」。

私がここでお伝えしたいのは「識学という企業がすごいのではなく、識学がすごいのだ」ということ。上場を果たしましたが、IPOのコンサル担当者を他社から引っこ抜いたりすることなく、すべてプロパーの社員のみで上場を果たしました。そしてそれは、識学の社員が優秀だとか代表が優秀であるとかという理由ではないことを証明するため、ほかの企業に対してメソッドと資金を注入することで、上場させるということを実現。そして今、識学の組織マネジメントの理論を取り入れて、スポーツチームをB1リーグに昇格させるという取り組みの真っ最中なのです――。

冒頭のイントロダクションだけで識学の何たるかに迫りたい、理解を深めたいと参加者一同の集中力が見て取れます。

講演では、ワークを実施。

『あなたはある新設高校に勤める高校教師。ある日校長から「新しく野球部を作るので最高のチームを作ってもらいたい」と野球部の顧問に任命されました。最高のチームを作るために任命された直後から「やるべきことを実施順」に思いつくだけ挙げてください』。この命題のもと、チームビルディングを通じて講演者と一緒に識学の考え方を学びながら、それを組織経営に置換すると、どういうことが言えるのかをいきました。

ここまでの記述はほんのほんの一握り。講演ではより具体的な説明や解説をロジカルに分かりやすく、実例も踏まえながら奥田氏は70分間レクチャーしてくれました。会員企業のどこかに識学を経営に取り入れた仲間が誕生する日は近いかも?

そんなどこか塾の講義のような、受講後の脳が活性化した心地よい疲労感を感じた今回の勉強会は、会員向けに動画をアーカイブ化しています。いつか機会がありましたら、是非!見ていただきたいと思います。

識学は宗教ぽい、軍隊ぽいなどという誤解の声を耳にしますが、識学は人の考え方を変えてやろうというものではありません。人それぞれ思考の癖があるもの。人は違って当然、という前提に立っています。また、人には思考の癖があります。なぜかというと、それは1人1人が生まれてから現在に至るまでに育ってきた経験も違うし獲得している知識も違うからです。

人はそれぞれ考え方が違うもの。それでは、それぞれ違った考え方の人間同士で行う組織活動、これを最適化するにはどうしたらいいのか。識学の起点はそこにあります。