3月の勉強会報告

任意団体Vieps(木原一裕チェアマン)は3月15日、文京区春日の区民センターで「3月度月例勉強会」を開催。オンライン聴講を含め16人が参加しました。

今回のテーマは『採用』。新年度を目前に控えるにあたって、正にうってつけの内容です。講師を務めてくださったのは、バイト情報サイト「バイトル」に社員求人サイト「バイトルNEXT」、総合求人サイト「はたらこねっと」などを運営します、dip(ディップ)株式会社。「昨今の採用情勢と採用手法の変化と定着率向上について」の演題で、ディップ池袋オフィス所属の渡辺仁人部長が講演しました。

自己紹介の中で2011年に入社したと話した渡辺氏は「当時から求人のありようも大きく変わりました」と位置づけ、続けて「現在はコロナ前の2019年と同じくらい求人市場の活気が戻っており、人手の確保がなかなか難しい状況になっています」と足元の動静に触れます。またディップの特徴を説明する中で、コロナ禍の施策に言及。同社の求人サイトを通じて就職した人が新型コロナウイルス感染症に罹患した際には「少しでも生活を支えたいという思いから、当時求人会社として初の補助金を充当する施策を講じました」ということ。当時『バイトを守れ』とのコーポレートメッセージを掲げて働き手を支えてきた、ディップの企業姿勢を説きました。

あらためて渡辺氏は、昨今の求人市場について言及。「少子高齢化と労働人口の減少が進み、例えば10年前に比べると、求人情報の方が多く、労働者の方が少ない状況になっています」だとのことです。

採用難易度が高まる中で、どう採用活動を展開していくのか。アルバイト採用の事例となりますが、と前置きしてさまざまな角度やアプローチから注力すべきポイントや勘所、ディップサイトのストロングポイントなどを体系的に説明してくれました。以下渡辺氏の講演内容から2件のユースケースを掲載します。

①〝バックレ〟を防ぐために、応募に対するレスポンスを急ぐ

求人の募集が来た時、たとえ夜中でも求職者に返信の対応をしてくれる返答システムを導入してDX化を図っています。

2018年~19年は採用が最も困難だった時期でした。応募が来ないだけではなく約束の時間に面接に来ないという、いわゆる“面接バックレ”も非常に多く深刻でした。その数は全体の50~60%程。面接担当者が会場で待機して、すっぽかされて誰も来ず2時間を無駄にする、などということもざらでした。

求職者は一度に5社6社エントリーするもので、一番返信の早かったところにまずは面接行ってみようかなと考えます。実際にアンケートでも、「1日以内に連絡がほしい」と思う方が60%います。さらに「半日以内の連絡希望」は36%も。初回の返信の遅れで他企業様に流れてしまうので、応募が届いた後のレスポンスの速さが重要になります。

そこで、食べログさんや美容室さんのオンライン予約のように、ディップでは応募を受け付けたメールに、面接日程を求職者が選択して確定できるウェブシステムを構築しています。面接を早い日程で組んであげないと、求職者はどんどん他の条件のよい仕事を見つけて結果バックレを招いてしまいます。

皆さまが今後採用を行う際には、先を越されないようにできるだけ早いレスポンスと即時の面接実施を心がけることで、バックレを減らすことができます。ぜひ実践してみてください。

②入社後のギャップやミスマッチはどう埋めたら

面接をした後に33%の方が離脱する、という調査報告があります。ミスマッチのない募集要項原稿を作ること以外にも、面接の後に例えば社内見学してみるのも良策。見学を促していただき、応募ページに記載の遭った内容と実際社内を見学した内容が一致しているかどうかを見てもらうことも有効です。

また、社風をたくさん伝えることがミスマッチを防ぐことにも作用します。実際に定着率向上に繋がった、という企業さんもかなり多くいらっしゃいます。

一般的にアルバイトの求人原稿の場合、企業の成り立ちなど記載されていないケースが多いです。コロナ以前の2019年時には、あまり重要視されていませんでした。その後コロナ禍、アフターコロナを経て、企業としてどういう成り立ちがあり、どういった形で社会に貢献し、今後どういったビジョンで進んでいくのかという企業の理念や経営姿勢を、アルバイトの方々も比較的重要視するような見方が増加しています。

賃金は高ければ高いほど集まりやすい、条件のいいところから応募するもの。とはいえ、待遇改善がすぐにできる企業さまばかりではありません。実際賃金アップが容易な状況にない方が多いです。

企業理念しかり、今まで重視せず原稿に書いてこなかった部分を誠実に書いてみることも一策。その洗い出しの中で、実は自分たちは大したことはないと思っていなかったことや、当たり前だと思って求人要項に記載していなかった、というケースも多くあります。

そうした企業さまの強み一緒になって見つけ、きちんと求職者に届けていくことがわれわれの仕事ではあるのですが。「これだったらお金を使わずに作れるし、改善できそう」などといった自社の特徴を社員の方と見つめて再構築していただくことも重要かと思っています。待遇をいきなり変えなくても、貴社の中でできるものはあります。傾向や有効策を知っていただき、まずは無料でできることを取り入れてみるということも大切だと思います。

たった2つしか挙げていませんが、個数で言うと10項目以上傾向と対策やユースケース報告があり、さらに聴講者からの質問にも的確に回答いただきました。

また渡辺氏のほか、1年前まで自身も大学生でアルバイトをしていたというディップの石川空帆氏も登壇。「あらゆる業種を超えて、求職者が一番気になるのは職場の雰囲気が自分に合うかろうか」だと自身の経験則も踏まえてセオリーを説きました。

講演と質問は熱を帯び白熱して、当初予定時間を越え終了。聴講後も聴講者らは口々に満足感を語っていました。当該リポートなど10分の1程度しか書ききれていませんが、この春からVieps会員は後日動画を視聴できるようにサポートを強化してまいります。渡辺様、石川様、どうもありがとうございました。

任意団体Viepsでは、お試し参加も大歓迎です。また、間もなく公式ホームページがリニューアルします。年間スケジュールも掲載していきますので、ぜひチェックしてみてください!